新しい出会い
大阪は激しい雨に襲われた。
彩は、コンビニで雨宿りをして、菜々に電話した。
「どうしたん、彩?」
「悪い。つい癖で電話した。」
「しっかりしぃや。キャプテン。」
「しっかりできたらうっかりせんわい。」
「ほなな。」
本当はもっと話したいことはあったが、彩は言葉を紡ぐのをやめた。
結局、彩はコンビニに入って傘を購入し、家に向かった。
家路を急ぐ彩の視界に一つの段ボールが目に入った。
「クーン」
「犬や。無責任な人がいるんやな。」
おそらく段ボールの側面に可愛がってください等と書かれていた文字も雨の影響で流れていた。
それか何も書かれていなかったのかのどちらかだが。
菜々を失っていた彩にとって、自分の心の隙間を埋めてくれそうな気がして、ずぶ濡れの犬を段ボールごと持ち上げ、家路を急いだ。
「着いたで。しっかりしぃ。」
「くーん。」
犬とシャワーを浴びていると、犬と世界が光に包まれた。
「ぶーっ。」
犬が一人の成人男性になり、その男は鼻血を出した。
浴室にさや姉タイプの女性の全裸を映した男性の反応としては当然だろう。
「失礼します。」
そう言って男は、鼻血を出しながら、浴室を後にした。
彩は何が起こったのかとしばらく呆然としていた。