大きな背中
光圀と共に改札にやってきた美桜。
「あっ。お客さん。入場料のおつり忘れてましたよ。」
「すいません。背負っている子の電車の料金引いてください。朝長、どこから乗った?」
「〇△駅です。けど私、切符持っていますけど」
「気にするな!こんな汗だくの男の背中からお前を下ろしてあげたいんだ。」
「はい。差し引いたおつりね。」
「どうも」
下りたくないって思っている美桜がいた。
光圀の車は駐車場にあった。
その間に美桜はふと感じた疑問を光圀にぶつけた。
「大塚さんはどうして来てくれたの?」
「朝長、泣いていたろ?本物の家族を失った俺にとってお前達が今の俺の家族だ。」
共同生活時代の家族イコール家族ということはママ(指原さん)が一番ということになる。
「私、一番になれるかな?」
「俺がお前をおんぶしているの、なんでだと思う?俺の一番はまだ決まってない。」
嬉しさが美桜を満たしていく。
「ほい。とりあえず車に到着。朝長、家の人に電話しろ。その後、尾崎さんに電話だ。」
「はい。」
光圀は、エンジンをかけ、ゆっくりと病院に向かって走り出した。
「あっ、ママ。美桜ね。階段から足を踏み外して、今病院に向かっているの。マネージャーさんに連絡入れたら、すぐ来てくれた。病院の結果が出たらまた連絡するね。」
美桜は、一仕事を終えた顔をしていた。
「朝長、次は尾崎さんに連絡しろ。まだ、時間はかかる。」
「はい。」
続いて尾崎支配人に電話を入れる。
「尾崎さん。朝長です。実は階段から足を踏み外しまして・・・。大塚さんに連絡を入れたらすぐに来てくれて、今は隣で車を運転して病院に向かっています。はい。」
美桜はスピーカーを入れた。
「大塚君。朝長を頼む。結果が出たらまた連絡をくれ。君は今日休みだったろ?交代を出そうか?」
「一辺に言い過ぎです。言われなくても面倒見ますよ。結果が出次第連絡は入れます。朝長の様子からして、足を中心のものです。人手は必要ないと思います。」
「大塚君。朝長に妙な気を起こすなよ。」
尾崎支配人の言葉を聞いて、美桜は自分の気持ちを理解した。
自分はやっぱり光圀が好きなのだと。