点火済み
光圀を否、福岡市民を嵐が襲った。
光圀は、仕事を終わらせ、家路を急いだ。
光圀の家の前に立つ少女がずぶ濡れになりながら、飼主を待つ犬のように光圀を待っていた。
「碧唯、話は後だ。上がってシャワーだ。」
光圀は碧唯の腕を掴むと、家に連れ込んだ。
脱衣場に碧唯を押込み、光圀は出て行った。
「シャワーで温まって、三分後まで出るなよ。」
タンスから中学校のジャージを半袖、短パンで出した。
サイズが合わなかった場合も想定し、ワイシャツを、更に身体を拭くバスタオルを置いておいた。
光圀が洗濯物を取り込み終わると、風呂場のドアが開き、ワイシャツ姿の碧唯が出てきた。
「大塚さん。」
光圀を見るや否や、碧唯は光圀に飛びついた。
「本村?どうした?」
「碧唯、駄目なんです。大塚さんと過ごした時間が忘れられなくて、碧唯のこと、大塚さんのペットにしてください。」
「本村、お前、どういう意味か解って言っているのか?」
「ご主人様、碧唯をマゾ奴隷として、いっぱい泣かせてください。」
「返事は後にして、食事にしようか?」
「はい。」
碧唯は大塚の家にいる間に光圀を主人と認め、自身のマゾ性を開花させてしまったようだ。
それ故に光圀の言葉を従順に聞いている。
洗濯乾燥機に碧唯の服を入れ、食事をとる。
光圀は、いじめの被害者だった。
光圀の優しさは、辛い過去からきていた。
しかし、心のどこかで主従関係の主人になりたい願望があったのも、事実だった。
碧唯がご飯を食べ終えたのを確認すると、光圀は碧唯に抱きついた。
「本村。否、碧唯。もう一度、宣言して。誰が誰の何になるのか?」
「私、本村碧唯は、大塚光圀様をご主人様として、マゾ奴隷になります。碧唯のことを可愛がってください。」
「碧唯。仕事の関係上、お前だけに構ってあげられないけど、それでも良いなら、お前の主人になってやる。」
「はい。碧唯はご主人様のペットです。」
人懐っこいこの少女によって光圀は、サディストとしての火を点けられたようだ。