ご褒美デート
美瑠との約束で、光圀はデートをする羽目になった。
「しょうがない。海遊館に行こう。俺はジンベエザメが大好きなんだ。」
というわけで、海遊館までやってきた。
「大塚さん。お待たせしました。」
「俺も今、大阪港駅から歩いてきた。」
「あの、観覧車も乗ってくれませんか?」
「よし、良いよ。行こうか?」
「はい。」
ジンベエザメの水槽の前にやって来たときの光圀は、普段とは全く違う感じであった。
「見てごらん。ジンベエザメが餌であるプランクトンを食べているよ。」
「え?どうしてそんなこと、わかるんですか?」
「ジンベエザメは英語でホエールシャーク。プランクトンを食べるんだ。それにあんなに大きな身体なのに、牙は爪楊枝サイズ。そして、プランクトンを食べるときは、効率よく食べるために、縦になるんだ。」
「へー。」
「昔、そういう動物番組で見て以来、メロメロになっちゃってな。」
「また、難波に来てくれますか?」
「行けって言われたら行くだけかな?さて、進もうか?」
二人は順路どおり進み、観覧車に乗った。
「大塚さんって好きな人、いるんですか?」
「博多に婚約者がいるんだ。そいつのことが世界中の誰よりも大好きだ。」
「お幸せに。」
「そっか。ご褒美はこれで良かったかな?」
「はい。」(告白したかったけど、婚約者がいるんじゃね。)
一つの恋が終わりを告げた。
「ところでどうやって来たんだ?」
「お父さんに送ってもらいました。」
「そうか。なら、大丈夫だな。」
「また、明日。劇場で。」
「あぁ。また明日な。」
明日は難波へのお別れの日だ。
ホテルに戻った光圀は、莉乃に連絡を入れた。
「もしもし。」
「もしもし。俺。明日、帰るから、覚悟しておけよ。じゃあ。」
そう言って光圀は電話を切った。
(いよいよ、明日か)
「いよいよ明日、大塚君が帰ってくる。みんなも異論はないな。」
「はい!」
計画が明らかになるのも迫っているのだった。