約束
光圀はホテルの部屋で漢字テキストを書ききっていた。
白間美瑠との約束を取り付けられてしまったのだ。
「大塚さん。私が今回のテストより良い点が取れたら、私にご褒美ください。」
「確かに何かあった方が良いな。よし、約束だ。」
その為に、美瑠用と自分用に漢字テキストを購入し、それを宿題とし、一日目が終了した。
光圀は、莉乃に電話をかけることにした。
「もしもし。」
「あぁ。俺。今電話して問題なかったか?」
「うん。今お風呂から出たとこ。」
「そっか。足、大丈夫か?」
「大丈夫。明日また接骨院に行ってくる。」
「そっか。メンバーなんか言っていたか。俺の出張のこと。」
「そういえば、私にキスマーク付けていったでしょ?」
「気が付いたか?しばらく会えないと思ったらつい。でも、それだけ莉乃のこと、愛しているんだ。」
「馬鹿。」
「悪いけど、こっちで学習的教育指導を任されて、今日テストをやって、四百九十九点の一位だったぞ。」
「ねぇ。しないよね?浮気。さや姉とか上西恵ちゃんとかに。」
「俺はいつも莉乃のことしか考えたことないよ。」
「じゃあ、待っているから。」
「あぁ。とりあえずおやすみ。莉乃」
「おやすみ、光圀。」
電話を切り終えて光圀は朝感じた違和感を調べる為に写真立てを開いた。
そこには、一枚の紙があった。
内容は、幼い頃の光圀の夢が記入されていた。
『僕の夢は、大人になって、アイドルのお姉さんと結婚して、父さんと母さんに楽をさせてあげることです。』
その夢が叶うときが近づいているようだ。
(父さん、母さん。楽はさせてあげられないけど、俺が幸せになるのは良いかな?)
そんな思いを胸に光圀は眠りについた。
大阪の夜空には、流れ星が一つ流れてきていた。