診断
光圀の運転で、莉乃は接骨院までやってきた。
今まで怪我も病気もして莉乃はしてこなかった為、光圀の掛かりつけ医にやってくる羽目になった。
光圀は車を駐車すると莉乃の下にやってきて、背を低くした。
「一人じゃ歩きにくいだろ。ほら、俺の肩に掴まって」
「お姫様だっこはしてくれないの?」
「恥ずかしいんだろ。これで我慢しろ。」
「ありがとう。」
「はい。ゆっくりな。」
光圀は、受付もスムーズに行った。
医者の話によると、軽い捻挫に済んだ。
しかし、極力安静に、つまりダンスはしばらくしないようにとのことだった。
入浴は足を上げて行うようにとのことで、光圀もそれを医者から聞いていた。
「しかし、驚いたな。あの光圀君が、マネージャーになっているとは立派になったな。」
「いいえ。ありがとうございます。」
「しばらく通院してもらうけどね。」
「よろしくお願いします。」
光圀は、検査を終えた莉乃を置いて、尾崎さんに連絡する為に外に出た。
「尾崎さん。指原さんは軽い捻挫です。医者によると、ダンスはしないようにとのことでした。」
「そうか。それで君に言い忘れていたんだが、明日から難波に出張に出てほしい。」
「明日って、随分急ですね。難波っていうと、大阪のNMBのところに?」
「あぁ、そうだ。指原にはしばらく休暇を与えると伝えてくれ。」
「僕の出張期間はどのくらいですか?」
「一週間だ。帰ってきたら、君の望みを聞こう。」
「望みですか?」
「給料を上げるでもなんでも構わないよ。一週間後までに決めておけばいいんだ。」
「わかりました。出張頑張ってきます。」
(俺の望みはもう決まっているさ。)
「じゃ、頑張ってくれ。」
光圀が病院内に戻ると、莉乃が待っていた。
「お会計終わってますから、家まで送ってください。」
松葉杖をついて、莉乃は駐車スペースまで歩いていった。
光圀は、莉乃を助手席に乗せると、自宅に向かって車を走らせた。
「指原さん。俺、明日から難波に一週間出張です。留守お願いしますよ。」
「うん。わかった。ただ、お願いがあるの。」
莉乃のお願いとは?