これからの日常
光圀は冷蔵庫の中を見たが空だった。
その為、買出しに出なければならず、準備をして玄関に向かう途中で、
「大塚さん。どこに行く気?」
「か、買出しです。」
「私も行くわ。」
「行くのは良いけど、すっぴんだろ。今。その方がばれにくいんだろうけど・・・。眼鏡して、帽子被って変装して、俺の妹、リナってことでなら、連れていってやる。」
「じゃあ、取ってくる。」
莉乃に見つかり、一緒に買出しに行くことになってしまった。
「ところでどこに行くの?」
「八のつく日だから、ヨーカドーだ。」
車はヨーカドーに向かって走り出した。
しかし、車内は重い空気が漂っていた。
「大塚さん。」
「今は良いけど、車を降りたらお兄ちゃんって呼ぶことになるんだぞ。」
「わかってる。やっぱり怒ってる?私が一緒に住むこと」
「否。お袋と生活していた期間が長かったから女の子と住むのは問題ない。」
二人にはお互いを意識しているせいか、距離があった。
買い物を済ました二人はお惣菜で夕食を片付けた。
「指原さん。先にお風呂入っておいで。俺は寝具の準備しないといけないから。」
「はーい。」
光圀は冷や汗を二度かいた。
莉乃はバスルームのドアは閉めていたが、その前の廊下に面するドアを開けっ放しにしていたのだ。
(ちゃんとドア閉めろよ。昔、したことがある男でもよ。)
もう一回は、布団が光圀用しかないことである。
「ただいま。蓋開けてきたから、大塚さんも早く入ったら」
「指原さん。二つお願いが。お風呂入るなら、廊下に面するドアもちゃんと閉めてください。布団がないから、指原さん俺の部屋のベッドで寝てくれますか?俺はソファーで寝るから。」
「じゃあ、一緒に寝よう?」
「考えて言ってます?」
「しょうがないな。はい。仕事だったら問題ないでしょ?」
光圀が一緒に寝るのを躊躇するが為に、莉乃は一万円札を財布から取り出した。
「わかりました。シャワー浴びてきます。」
光圀はビジネスライクなところがある為、上司である莉乃に頭が上がらないのだ。