花嫁修業
記憶の海
光圀の最後の手段、それは催眠術である。

光圀は、否、光圀達は来世の自身を受け入れていた。

来世で、光圀は神様に、正輝は魔法使いとなる。

そして、大塚金一、光ーー光圀の両親も息子の運命を受け入れているのだった。

「ここは一体?」

「大塚莉乃様。ここは光圀殿の記憶の中でございます。私は案内係でございます。」

莉乃の目の前には、一匹の猫が流暢な日本語を喋っていた。

事件は福岡空港前の自動販売機前で起こっていた。

あの出会いの場面で莉乃は驚いた。

「え?美音?」

光圀の手元のスマートフォンの画面、劇場公演の文字を見て、莉乃も安堵した。

「彼女は俗に言うドッペルゲンガー。故に見た目も情報も同じ。」

次にロードワーク中の光圀の後ろに美音は現れたが、地元のことは光圀の方が熟知していて、美音の後ろに光圀がついた。

「人間を守れ。」

「了解しました。」

美音と知り合った経緯を知った莉乃の視界に見慣れた風景、西鉄ホール前が映り込んだ。

「父上!~~~」

自身としか思えない女の子が光圀を父上と呼び、二人の会話からその子が千尋であることを莉乃は理解した。

そして、未来人の美晴が現れ、
光圀の命と記憶を美音が守った真実に莉乃が知るに至ったのだった。

光圀の潔白が証明されると、美瑠は観察映像を切るのだった。

■筆者メッセージ
コロナが発生する前の話。
もう一話お付き合いください。
光圀 ( 2020/05/04(月) 01:57 )