都会進出
俺は学校の成績からしても、進学する予定でいたはずなのに、就職という道を取った。
理由は単純で、お人好しな由紀が借金を背負って、その影響で、音信不通になったと思って、俺は由紀の力になりたいのだ。
九州支社で手腕を振るい、東京の会社へと俺は転勤することができた。
休日は俺に似合わない渋谷、原宿に足を進めたが、由紀らしい人物を見つけることは出来なかった。
この大都会東京で人を探すこと自体が無謀な気がするが、俺は諦めず、由紀を三年間、探し続けた。
◎
「パパ。ママと待っているよ。」
俺の目の前に髪の毛をツインテールにした女の子が現れた。
「待ってくれ。」
俺はその子を追った。
「パパ。こっち、こっち。」
女の子を追って、何駅分歩かされたのだろう。
その子は一つの建物へ入って光の粒となって、俺の目の前から消えた。
その場所は所謂、ネオン街で光の粒は一つの店舗を指していた。
◎
俺は日曜日に由紀を探しまわった疲労から玄関で寝ていたのだ。
俺はスマートフォンを操作し、夢に出てきた店舗の名前をグーグルで検索してみた。
店舗は存在し、店舗の情報サイトへと進み、コンパニオンの女性を見ていく中で俺の目は一人の女性を捉えた。
その女性の名前は小雪。
だが、その顔はずっと探していた女性、由紀そのものだった。
平日は出勤になっていた為、金曜日を小雪さんとのファーストコンタクトの日に決めた。