お別れ
俺と由紀は昔と変わらず、勉強して、デートして、バイトして、ときどきエッチしてな関係を続けていった。
どこかで聞いたけど、福島県を三つに分けると、海辺、繁華街、田舎になり、田舎の人々はデートで行くところがなく、エッチに走って、そのまま結婚というのが流れになっていて、カップルによっては出来ちゃった婚に至るパターンもあるようだ。
デートスポットのあるところに生まれて良かったが、避妊はしてきていても、由紀が妊娠したら、旦那はほぼ俺だから、結婚するつもりでいる。
◎
不思議な感覚だった。
暗闇の中で俺と由紀の二人きり、しかも俺達は繋がっている。
「龍馬。浮気なんて出来ない位、いっぱい搾り取ってあげる。」
「一発目。後、九発は出させるから。」
俺は由紀によって、十発搾り取られた。
「龍馬。二人で待っているからね。」
由紀が自身の腹部を撫で擦り、微笑んだところで俺の視界も暗くなった。
◎
ここは鹿児島空港。
由紀は東京都内にある偏差値の低い大学へ進学するらしい。
「龍馬。私、待っているから。」
「長続きするのか?」
「どういう意味よ。」
「昔、かくれんぼの隠れる側のときに家に帰っていたの忘れたわけやなかろ?」
「でも、龍馬は私を見つけてくれたじゃない。」
「あぁ。音信不通になっても見つけて見せるさ!」
「ねぇ、龍馬。キスして?」
「チュッ。・・皆、居るから。」
そう周りの目を気にして、俺は由紀の手に口付けした。
「必ず、会いに行く。」
「お二人さん。相変わらずお熱いわね。」
由紀の友人、先輩達にからかわれた。
半年後、由紀は何故か音信不通になってしまうのだった。