母娘のかくれんぼ
文字通り由紀姉の手によって射精させられたあの日、由紀姉の両親の帰宅時間の関係で、あれ以上はなかった。
しかし、その後に見た夢が妙にリアルだったのを覚えている。
「龍馬。マユ見なかった?」
声を探すと、眼鏡をかけた由紀姉に似た女性が俺にマユという存在について聞いてきていた。
その女性を再度見ると、眼鏡こそしているが、ほぼ由紀姉だった。
そうだとしたら、マユと呼ばれているのは、俺と由紀姉の子供ってことになる。
「さぁ、見ていないな。」
俺は現状を確認するように視線を動かすと、手元に新聞、新聞と俺の間に黒い髪があることに気が付いた。
「そう。」
だいたいかくれんぼをしているのを理解した。
「パパ。ありがとう。」
「マユ。出てこないとアイス食べちゃうぞ。」
「ママ。マユもアイス食べるってば!」
俺の手元から抜け出た愛娘はアイスという餌に見事に引っかかり、母親の元に出ていった。
「はい。マユ見っけ。」
「あー。ママずるい。」
昔から由紀姉は負けず嫌いなところあるからな。
まさか、大人になっても変わらないとは。
「パパもアイス食べようよ。早くしないとアイスが溶けちゃう。」
「分かった。今、行く。」
そこで俺の夢は途切れたが、あれが正夢になるのは時間の問題なのかもしれない。