密会
彩、美瑠を始め、NMB48のメンバー、正輝達スタッフはドリアン少年のMVを撮影する為に台湾へとやってきていた。
ホテルの部屋割りで彩と美瑠は同じ部屋になった。
「ねぇ、さや姉。」
「なんや?みるるん。」
「さや姉のマネージャーの加藤さんのこと、さや姉はどう思ってんの?」
「加藤って、加藤正輝のことか?」
「そうそう。」
「別になんとも。」
そう言いながら、彩はベッドに突っ伏した。
これまで観察してきた美瑠だからこそ、枕に隠している彩の表情は言葉と違うと感じている。
「そうや。みるるん。喉、乾かん?なんか買ってくるわ。」
「じゃあ、私も行く。」
「否。年上として、奢ったるし、散歩がてら行ってくるわ。何がえぇ?」
「ペットボトル飲料。中身は任せるな。」
「ほな。行ってくるわ。」
「行ってらっしゃい。」
ドアが閉まったのを聞くと、美瑠は例の観察機能で彩を追跡した。
「やっぱり。」
映像に映るのは彩と眠そうな正輝だった。
「彩。はい。水、二本。」
「正輝。あんたの分な。」
「ありがとう。」
「正輝。真水、水道水は飲んでへんな?」
「大阪の時点で飲んでへんやん。」
「明日は、私以外に目向けるなや。お休み。」
「?お休み。」
忠犬な正輝は彩の言うことを聞いたが、それは健全な男子への生殺しでしかない。