歓迎会
今日はメンバーを交えての正輝の歓迎会(お酒の席)の映像。
そして、そこで起こった喜劇のような悲劇、悲劇のような喜劇、どちらと取るかは人それぞれである。
正輝の両隣に片や彩、もう片方はみるきー(渡辺美優紀)という配置になった。
「君が正輝君?美優紀です。みるきーって呼んでな。」
みるきーの釣り戦術に普段は変化のない彩の顔がピクピクしているのを美瑠は見た。
「御丁寧にありがとうございます。渡辺さん。」
飲み会あるあるな何を飲むかで正輝は困っていた。
彩が下戸で今日まで、正輝自身も飲酒の経験がないのである。
メニューを見ながら、正輝は口に出していた。
「えーと、日本酒、日本酒。」
この呟きから、正輝は麦焼酎ロックを飲むことになった。
中盤、パーティーピーポーなスタッフさんの一言から各テーブルにロシアンたこ焼き(一つだけ中身は辛子)が置かれた。
貧乏クジを引いたのは彩なのは良いが、彩のグラスは空で、複合条件から彩は目に入ったグラスの中身を飲み込んだ。
「山本さん。それ、僕の焼酎です。」
「ごめんな。加藤さん。店員さん。お水二つください。」
「彩ちゃん。下戸やのに大丈夫かいな?」
彩の体内、血液にアルコールが回って、普段の彩では考えられないような行動に出る。
「みるきー。正輝は私のや!気安く正輝のこと、名前で呼ぶな。」
「や、山本さん。落ち着いて。」
「お乳突くのは男の正輝の仕事や。ただし、私限定やで。」
「すみません。山本さんがこんな状態なんで、失礼します。」
「なんや正輝。ハウスに帰るんか?」
「山本さんを送っていくんですよ。」
「正輝。ありがとうな。」
他のスタッフの有無を言わせずに二人は会場を後にした。
「正輝。おんぶしてぇな。」
「はい。」
「落とすんやないで。」
彩は酔いと正輝の背中の心地良さから、寝てしまうのだった。
◎
見慣れた天井を見上げた彩の鼻に美味しそうな匂いが舞い込んできた。
「何してんねん。正輝。」
「彩。起きたんだ?いやぁ、彩が酔っちゃって、締めの料理食べられなかったから、ラーメン作ってん。」
「ごめんな。」
「彩も食べる?」
「少なめにしてな。」
二人きりの二次会がいつものハウスで密かに行われていたのを知るのは当人達と観察している美瑠だけだった。