観察日記
飼い主と忠犬
美瑠は家に帰ると正輝と彩の出会いが知りたくなり、水晶玉の画像を見だした。

「クーン」

そこに映っていたのは、一匹の子犬。

(加藤さんはいつ出てくるんやろう?)

普通の男女の出会いとくれば、男性と女性が登場人物なのだが、今のところ、女性ーー彩と犬しか出てきていないことに美瑠は疑問を感じた。

拾った犬と全裸になった彩が浴室に踏み入れ、シャワーを犬にあてがうと、光を発され、聞きなれた声が聞こえてきた。

「失礼します。」

急に正輝の声が聞こえてきて、さっきまでいた犬がいなくなっていた。

(もしかして、あのワンちゃんが加藤さん?)

そのまま、水晶玉を見ていると、美瑠や老人と違う魔法使いによって、犬にされた男性が正輝の正体のようだった。

しかも、何故か彩と同じ住所になっていて、仕方なく住まわせていることが判明した。

今、水晶玉に映る二人は焼きそばを食べている。

「んんん(旨い)」

「食いながら喋るな。」

「だって、彩さんの焼きそば美味しいんですもん。」

「彩でえぇよ。正輝の方が一応、年上らしいねんから。」

「さーやーか。」

「なんやねん。」

「ありがとう。」

しばらく二人は良いムードのまま、夜が更け、水晶玉の映像が切れた。



次の日、正輝を見つけた美瑠は実験をすることにした。

「加藤さん。おはようございます。」

「あぁ、白間さん。おはようございます。」

「加藤さん。お手。」

「小谷さんといい、僕は犬じゃないですから。」

彩の前ではボケだった正輝に美瑠はツッコミを受けたのだった。

■筆者メッセージ
この実験風景を見ながら、飼い主さんがガン飛ばしているんだろうな(о´∀`о)
光圀 ( 2018/11/08(木) 21:01 )