喧嘩と仲直り
恋仲であり、仲の良い正輝と彩でも喧嘩をするときはある。
美瑠は昨日映像を見ていなかった。
二人の様子から昨日の夜中に何かあったと察した。
「ねぇ、さや姉。」
「なんや、みるるん。」
「何を怒っているの?」
「怒ってへん。」
そう言う人に限って怒っているもので、今の彩は不機嫌オーラが出ていた。
普段なら同じ室内にいるはずの正輝がいないのである。
「そういえば、加藤さん。知らへん?」
「なんで私とあいつがセットになってんねん。男なんやし、便所行ったり、色々しとるんちゃう?」
美瑠はもう一人の重要参考人である正輝を探しに行った。
正輝はスマホを片手に考え込んでいた。
「加藤さん。」
「あぁ、白間さん。」
「どうかしたんですか?」
「まぁ、ちょっとな。」
「どうかしたんですか?」
「実はルームメイトと喧嘩してしもうて。謝りはしたんやけど。向こうが中々許してくれへんくて。」
「何したんですか?」
「ルームメイトが食べる予定だったプリンを僕が食べちゃって。」
美瑠は子供の喧嘩みたいな喧嘩をしている二人を見たいと思いつつ、アドバイスを送ることにした。
「そういうときは代わりのプリンを買って、謝るのが一番だと思いますけど。」
「いや、あいつがあのプリンが食べたいって言っていたから、そんなん考えてもみんかった。」
「仲直りできると良いですね。」
「そうやな。」
○
「あー。正輝!」
「(ごくんっ)何?彩。」
「あんた。今、何食べたんや?」
「プリンだけど。」
「どこから持って来たんや。」
「冷蔵庫の中やけど。」
「やっぱりか。私があのプリンを食べるのをどれだけ楽しみにしとったと思ってんねん。」
「彩。落ち着いて。」
「あのプリン食べたかったのにな。加藤さん。お暇いただきます。」
そう言って彩は財布とスマホを手に実家へ行ってしまうのだった。
○
彩のマンションに彩は帰ってきた。
「彩。お帰り。」
『ごめん』
「どうして、彩が謝るの?」
「昨日、実家に帰って、ママに言われた。また喧嘩したんか?って。ママは山田やと思っているみたいやけど、きちんと仲直りしてきなさいとも言われた。」
「彩。一緒にプリン食べへん?三つ入りのプリン買って冷蔵庫に入れてあるから。」
「誰の入れ知恵や?」
「白間さんに。」
「まさか、私の名前出してへんよな?」
「ルームメイトにしといたって。」
「プリンより前にご飯にしよ。お腹空いたんやけど。」
「そういうかと思って。お寿司買ってきた。」
「アホ。」
彩の正輝へのアホが出たのなら、もう二人は元通りに戻った証拠です。