誕生日
7月14日。この日は彩の誕生日だ。
現在地は三重県。二人はデートに来ていた。
理由は単純明快。正輝はペーパードライバーである為に運転の特訓である。
パパラッチやファンに気付かれても仲の良いマネージャーとアイドルがマネージャーの特訓に付き合っている程度に映る。
ここに来るまでの二人のやりとりが微笑ましい。
「彩。誕生日プレゼント、何が欲しい?」
「うーん。(休みやけど、正輝はペーパードライバーやしな。)おっ。正輝。車の運転してみたない?」
「あの、丸いハンドルを手にして、座るやつ?」
「足の動きとかもあるけどな。どうやねん?」
「一回もしたことないのに?」
「ゴーカートっていう観覧車の友達、があってな。特訓するって言ってんねん。」
「なんで?」
「沖縄に美ら海水族館ってとこがあんねんけど、空港から遠いからな。そこまでいつかドライブに行きゃえぇやろ。そこの水族館、ジンベエザメが有名やねんけど。」
正輝が釣れた瞬間を見た美瑠なのだった。
「えぇな。いつにする?」
「アホ。その為に特訓すんねん。」
「なら、やるわ!」
「ほな、決まりやな。」
「でも、彩。それってプレゼントになるん?」
「遊園地でかさ張らんお土産買ってな。(あんたが隣でアホみたいにリアクションするの見たいなんて口に出来るか。)」
彩の期待通りに見るもの聞くものに子供のように新鮮なリアクションを正輝がするのは別の話。