名古屋観光
今年は何もない年のはずだったが、加藤正輝と山本彩の結婚発表がされた。
そんな総選挙の明けた日曜日、大塚家はまだ名古屋にいた。
メンバー達は握手会があるので、光圀は残らないといけないのだが、尾崎支配人の計らいで結婚予定者達にアドバイスする代わりに、家族サービスで名古屋観光を許されたのだ。
光圀も芸能人である為に、栄の湯浅支配人が車とドライバーを手配してくれた。
「大塚さん。どちらまで行きますか?」
「名古屋港水族館まで、お願いします。」
「はい。かしこまりました。」
「運転手さん。どっかで会ったことありませんか?」
「そんなわけないじゃないですか!」
百五十センチはない身長、光圀よりも年上なのにツインテールをしていたら、誰だって元メンバーのあの人物を思い浮かべるだろう。
彼女の左手薬指には、既婚者の証が存在していた。
○
「三時ごろにお迎えにあがります。」
「はーい。」
光圀は車から降りた後も、首をかしげていた。
「莉乃。やっぱり、運転手さん。どっかで会っているよな?」
「それ、まだ引っ張ること?」
「それもそうだな。」
三人は入館した。
入館そうそう右手にシャチの水槽が存在した。
「千尋。シャチだよ。大きいね。」
水族館へ入った瞬間、千尋の目はぱっちりと開いていた。
娘である千尋に説明する光圀の顔と千尋の反応はやっぱり親子であるが故に一緒だった。
奥のイルカの水槽で光圀は、きちんと階段、ステップが存在するのに、階段二段分降りてしまった。
千尋は莉乃が抱っこしている為に、光圀だけのダメージで済んだ。
「ちょっと、光圀。大丈夫?」
「少しだけびっくりしたかな?」
北館でシャチ、イルカ、ベルーガを観察し、お昼ご飯を食べる為に、再入場用のスタンプを押し、一度退場した。
近くの建物のフードコートの中にあるスガキヤへと大塚家は足を進めた。
そこで光圀は冷やし中華、莉乃は普通のラーメンを注文した。
名古屋人は冷やし中華にマヨネーズを和えるという文化があり、その文化を実際に体験したいと思っての光圀の注文である。
他にもフードコートの中にはラーメン屋、きしめん屋、味噌カツの定食屋、天むす等の弁当屋も存在していた。
知識人の光圀に言わせると天むすは三重県が発祥ということらしい。
名古屋港水族館、南館へも行ったのだが、食後と後半ということもあり、あまり思い出には残らなかったらしい。
光圀は、名古屋港水族館のお菓子を購入し、メンバーやご近所さんに配ったのは別の話。