前夜の調査
光圀の元に莉乃から電話がかかってきた。
一腹盛られて以来、定期的に二人は肌を重ねるようになったが、まだ時間はそんなに経っていない筈だが、御両親絡みのこともある為、光圀は電話を取った。
「どうした?莉乃。」
「ごめんね。光圀。実はテレビ番組で私達の馴れ初め話をしなくちゃいけなくて、その番組のスタッフさんには光圀と話し合わせてくださいって言ってきたんだけど・・・。」
「期日は?」
「一週間後。なんなら断るし。」
「上等だ。ところで何時頃に帰ってくるんだ?」
「夜の、九時ちょっと前の奴。」
「千尋と空港で待っている。心配はするな。」
光圀は自分や莉乃、咲良達メンバーに迷惑のかからない筋書きを書いた。
『尾崎支配人による家庭教師探しが発端で、その条件がお人好しな人物であること。
光圀は条件を満たし、筆記試験も合格した人物である。
推しであった莉乃に勇気を出して告白。
彼女曰く、貴方の本気を見せなさいということで、光圀は頑張りすぎて、倒れてしまう。
光圀をそうしたのは自分だと責任を感じた莉乃は面会に可能な限り来て、退院後は監視と花嫁修業という名の料理の伝授に走る。
卒業生、穴井千尋曰く、莉乃が光圀を好きになったと言われ、捻挫事件、光圀の出張でお互いの気持ちを確認しあい、長女の千尋を懐妊する。』
実際はというと、
『光圀の悲しみから莉乃、穴井千尋を中心にメンバーを誘拐、光圀の改心による行動からマネージャーになる。共同生活時代から二人は両思いだったが、光圀は莉乃のことが忘れられず、倒れる。光圀の退院を期に莉乃と同棲を開始。好きとお互いに口にすることはなくとも、その心は繋がっていた。捻挫事件が発生し、二人はゴールインする。』
光圀が犯罪者であり、恋愛禁止のルールを破っていたのである。
二人の愛が勝っていたことに変わりはない。
〇
「只今。」
「お帰り。筋書きを作ったから、後で見ておいてくれよ。出発するぞ。」
「ちょっと待って。はい。良いよ。」
大塚家は家庭となり、幸せを掴んだのである。