同盟A
光圀がお寿司同盟に入ったその晩、メンバーとスタッフで焼肉へ繰りだした。
メンバーとスタッフで分かれるべきなのだろうが、光圀はメンバー人気が高く、ハーレム(周りが女子)状態になるのが常だった。
今日は、横に朝長美桜、前に本村碧唯、その隣(光圀の斜め前)に松岡菜摘という配置になった。
「あれ?大塚さん、呑まないんですか?」
碧唯が疑問を持つのも無理はない。
光圀は無料酒が好きな男で食事会等では普通に呑みに走っているからだ。
「莉乃、妻が授乳期間中だから、俺も禁酒期間だ。」
「子供の名前、千尋ですけど、ちーちゃんとどんな関係があるんですか?」
「穴井が頼んできたんだ。背中を押したのもあいつだ。」
「やっぱり、さっしーのこと、だいぶ前から好きだったんですね?」
光圀の言葉を聞いて、碧唯が言葉を紡ぐ。
「まさか、両思いだったとは思わなかったけどな。」
碧唯に、お前知っているだろ。余計なこと言うなよ。という視線を送りながら光圀は言葉を選んだ。
「大塚さん。聞いても良いですか?」
「どうした?朝長。何が聞きたいんだ?遠慮はするな。」
遠慮はするなと言いつつ、恋愛関係を聞くなという念を光圀は送った。
「大塚さんの好きなパンは何ですか?」
「パン?・・・昔のドラマの影響でメロンパン、否、あんパンも捨てがたいから、あんパンとメロンパンだな。」
「なっちゃん。メロンパン同盟、復活させよう。」
メロンパン同盟とは、松井玲奈が会長、島崎遥香を副会長とした48グループの垣根を超えたメロンパンが好きなメンバーによる同盟なのである。
他のグループのメンバーは卒業が多かったが、博多支部のメンバー(松岡菜摘、宮脇咲良、村重杏奈、朝長美桜)は現役メンバーである。
美桜はメロンパン同盟に入ってしばらくしてから同盟の解体をされた苦い経験がある。
「もしかして、俺を人数に数えているのか?」
「はい。」
「家庭を優先するなら俺は構わないぞ。」
「勿論です。」
「松岡はどうしたい?」
「じゃあ、復活。」
「やったー。」
「あ、どんな活動してたっけ?」
「おい。」
光圀の周りに笑いが起こった。
というわけで光圀はメロンパン同盟にも入ることになった。