墓参り
大分に一泊し、光圀と莉乃は福岡へ帰っていった。
問題が一つ、莉乃のこれまでの芸能活動で拡がった人脈の関係から、結婚式はしないと光圀が言い出したのだ。
莉乃は、仕方がないという思いと光圀に少しでも思われているという複雑な思いを感じていた。
一般的に、結婚の挨拶は妻になる人物の家庭を先に行い、その後で夫になる人物の家庭へ挨拶をする。
しかし、光圀の両親は土に還った身の為に、墓参りへと行くのだ。
「ねぇ、光圀。」
「どうかした?」
「尾崎さんやメンバー位呼んで結婚式しない?」
「それは俺も思ったけど、会場によっては遠いメンバーも出るから、そこがな。」
(会場問題か)
車中でそんな会話がされ、莉乃はしばらく考えこんでいて、そんな中、墓地に到着した。
「莉乃。先に行っているから、ゆっくり来いよ。」
「うん。」
光圀は捻挫上りである莉乃を心配してそう言っている。
それもそのはず、大塚の家の墓は坂の中腹にあるのだ。
莉乃がお墓に着いたときには光圀が蝋燭と線香に火を付け、お参りが出来る状態になっていた。
光圀は墓石に手を合わせ口を開く。
「父さん、母さん。俺、本物の父親になるよ。莉乃と家族と幸せになるから、これからも見守っていてほしい。改めて紹介するよ。指原莉乃さんだ。」
「義父さん、義母さん。改めまして、指原莉乃です。光圀と子供が出来まして、家族になります。不束者ですが、よろしくお願いします。」
「帰ろう。莉乃。」
「うん。」
両家への結婚挨拶を終えた二人。
懐妊報告と賛否両論の声が二人を待っている。