懐妊
大塚家の朝、莉乃が先に起きて、光圀の寝顔を堪能し、光圀が目覚まし時計で起きる。
いつものように朝がきて、いつもの朝である。
「おはよう、莉乃。シャワー浴びておいで。」
「はーい。」
ゆっくりと莉乃は浴室へ向かい、光圀が朝食を作り出す。
服を脱ぎながら莉乃は自身の身体に違和感を感じた。
莉乃の生理周期的に今日は生理の日なのだ。
しかし、出血が起こっていない。
光圀とは肉体関係もあり、避妊をしなかったときがある。
妊娠の可能性は十分にある。
光圀と結ばれるのは良しとしても、世間が何かを言い出すのではないかという不安が莉乃によぎる。
「莉乃。遅かったな。どうかしたのか?」
「光圀。・・・落ち着いて聞いて。出来たかもしれない。」
「生理周期はたまに遅れる人もいるっていうけど、可能性はあるか。莉乃。お前の気持ちを聞かせてくれないか?俺は世界を敵に回してもお前と子供達を愛したい。」
「ありがとう。光圀。」
「検査薬を買ってきて、調べて、莉乃のご両親に挨拶して、こっちは墓参りで、尾崎さん、記者会見もしないといけないのか?」
「気が早いでしょ。」
「莉乃。穴井からの伝言で女の子だったら、千尋って名前にするけど、良い?」
「それ、あの子から私も言われたの。」
「とりあえず、朝ごはんにしよう。」
「うん。」
『いただきまーす。』
結果は、陽性反応、だが、二人にとってはこれからが勝負どころである。