04
幸せな日々だった。どこに行っても自慢できる彼女がいて僕の大学生活は充実の毎日だった。何をしていてもどこへ行っても自分の見える世界が毎日キラキラと輝いて見えるのだ。
就職活動も美月のために頑張った。結婚したかったからだ。そう。僕はあの頃美月と結婚をしたくてたまらなかった。
理由は単純だった。
早く避妊具を外したセックスをしたかったからだ。美月は性行為の際、必ず避妊具の着用を求めた。どんなに安全な日であったとしても頑なに避妊具を身に着けていない行為を受け入れようとはしなかった。
「まだ学生だから」
「じゃあ社会人になったらいいわけ?」
「ちゃんと結婚をしてから。ね、約束」
小さい子供をあやすような優しい声音でペニスに避妊具を装着させる美月に、僕の腹は決まった。
大手商社に内定を受けたとき、僕は人生の勝ち組を確信した。誰もが振り返る美女を彼女とし、誰もが知っている有名企業に内定をもらったことで僕はこの先の人生はきっとバラ色に満ち溢れているだろうと思った。
僕の内定に美月も手放しで喜んだ。その夜、僕は美月に交渉した。
「頑張ったからさ、今日ぐらいいいでしょ」
「まだ約束の途中だよ」
「いいじゃんか。どうせ僕たち結婚するんでしょ」
避妊具を持った美月は悲しそうな顔を浮かべた。
「大事にしてほしいな。修一君のそれってただ私の体が目当てなだけでしょ。私、悲しいよ。このままだと結婚どころじゃないかな」
その言葉を聞いた瞬間、あれだけ硬度を保っていたペニスが一気に萎えた。
「ごめん。うん。僕が間違ってた」
美月を抱きしめる。彼女もまた僕を受け入れてくれるかのように手をまわしてくれた。
ああ、まだ終わったわけじゃないのだ。ホッと胸をなでおろしたが、ペニスはまるで怯えてしまったかのように全く勃起しなくなっていた。
美月と付き合ってから勃起をしないなんて、あの日が初めてのことだった。