09
「へえ。大人ちんちんになれるんですねぇ」
物珍しい物を見るようにツンツンと触れられ、男性器がピクンと反応をしてしまった。まだ刺激に慣れていないのだ。
「ん? 気持ちいいんですか?」
「違う。くすぐったいっていうか、ピリピリするの」
言って私は後悔した。明らかに芽依ちゃんの目が妖しく光ったのだ。
「じゃあ咥えたらどうなるんでしょうね」
大型魚が小魚を捕獲するかのように私の男性器がパクっと飲み込まれた。“ゾゾゾ”っと背筋に衝撃が走った。
皮が被った状態か剥いた状態では明らかに刺激が違った。芽依ちゃんのフェラチオは上手くはない。上手くないはずなのに、刺激が強いのだ。
「ダメ。まだ敏感だから……」
ところどころ歯が当たる。それすら心地いい刺激さえなってしまう。
「イっちゃって構いませんよ。私、精液飲んでみたいです」
とんだ変態だ。精液なんて毎日出そうと思えば出るが、飲みたいなんて一度も思ったことがない。
そんなお望みなら出してやる。睡眠を邪魔された苛立ちやら、日頃の鬱憤を晴らすにはちょうどいい機会だと割り切ると、胸の辺りが春の風を受けたようにスーッとした。
ジュボジュボと音だけは一丁前のフェラチオを受けること数分。ふいに射精感がこみ上げてきた。
「出そう」
アダルトビデオで見た知識を総動員させているのだろう。芽依ちゃんは男性器を咥えたまま、ヘッドバンドするかのように頭を上下に勢いよく振った。
ブルっと震えた男性器からピュッピュと精液が出て行くのが分かった。上手くはないフェラチオとはいえど、自分の手でするよりも多く出たような気がする。
「うげぇ。苦っ」
むせる芽依ちゃんを見ていると、良薬口に苦しということわざを思い出した。わずかに硬度をなくした男性器の先端にプクッと白い泡立ちが見えた。
「まだ先端に残ってるわよ」
「いわゆるお掃除フェラをしろってことですね」
先端を“ちゅるん”と吸われ、私は小さく呻いた。
「菅井さんってMかと思っていましたけど、Sな部分もあるんですね。優佳から聞いた通りだ」
「なんでよ」
「いや、私が精液を飲んで苦いって言ってるのにお掃除フェラをしろなんて」
「別にしろなんて命令してないわよ」
「あれは断われない言い方ですよ。パワハラってやつですね」
芽依ちゃんが隣へと擦り寄ってきた。まるでセックスを終えたカップルみたいだ。
「へへ。ピロートークみたいですね」
「エッチはしてないけどね」
「さすがに芽依の初めては菅井さんは嫌ですよ」
「悪かったわね」
「いや、そういう意味じゃなくて。さすがに初めては好きな男の人がいいなって。菅井さん“一応”女性ですし」
「一応ってなによ、一応って。生粋の女性よ」
睾丸がやわやわと揉まれる。射精をしたばかりの男性器に血液がゆっくりと巡回するような刺激を覚えた。
「フェラぐらいならいつでもしてあげますよ。芽依、こう見えて尽くすタイプですから」
苦笑するしかなかった。ひらがなの子はこんな子ばかりなのか。
「いけない子ね」