08
ねるちゃんに頭を撫でられながら、私は痛いやら情けないやらで心がズタズタに傷ついていた。すっかりと大人しくなった男性器を隠すこともせずに、子供のように泣いた。
「そんなに痛かったの?」
「痛いよ。死ぬかと思った」
大袈裟だと笑うかもしれない。けれども、私にはそれほどまでの痛みに感じてならなかった。
「すっかりと萎んじゃったしね。よし。よく頑張ったご褒美にいいことしてあげる」
いいこと? 現金な私は、その言葉に涙が止まった。モクモクと立ち込める湯気と、涙で滲んだ視界の先にねるちゃんの黒目が大きくなっているのが分かった。
タヌキみたいだ。しかもエッチな。私がぼんやりとそう思うと、男性器に温かくてザラっとした感触が走った。
これは……見覚えのある感覚に、私はより視界をハッキリさせるために目元に溜まった涙を指で払った。
「フェラ、もちろん初めてだよね?」
舌をペロッと出したねるちゃんは、頬を上気させていた。まさか初めてはすでにしてもらったなんて、露にも思っていないようだ。
「私も久しぶりだから。上手くできるかな。でもゆっかーだったらすぐにイっちゃいそう」
しかし、小池美波ちゃんとは明らかに違った。理由はすぐに分かった。皮を剥かれているからだ。皮膚の下にある“それ”は皮の上から舐められるよりもはるかに敏感で、ダイレクトに伝わった。
おかげで萎えていた男性器がみるみる勃起し始めた。私はあまりの気持ちよさに膝から崩れ落ちてしまいそうだ。
「イキたかったらいつでもいいからね。ま、我慢しようとしても無駄だろうけど」
よほど自信があるのか。その自信はどこから来るのか分からないが、言うだけあってとても上手だ。ギュポギュポと音を立てて顔を前後に振る。私は倒れてしまいそうで、壁に手を付けて何とか堪えるのが精一杯だ。
宿泊先のホテルの浴室でまさかフェラチオされるなんて。頭の中がぐしゃぐしゃだった。ただ唯一ハッキリしているのは、我慢なんて出来るはずもないほど気持ちよくて、間もなく射精が近いということだけだった。
「あああああ、も、もう……」
「ふふふ。どうぞぉ」
膝がガクガクと震えた。体中の熱が男性器へと向かっていくようだ。
チラッと見えたねるちゃんの柔らかそうなおっぱい。それが見えた瞬間、急激に射精感が襲ってきて、私は呆気なく彼女の口の中で果ててしまった。
ドクドクドク……おしっこのように精液が出ている。今の私はどんな顔をしているのだろう。醜態を晒すのは嫌だった。
嫌なはずなのに、この射精の瞬間だけは全てのことがどうでもよく思えた。