06
先に脱ぎ終わった僕の視線は友梨奈の股間に向けられた。人形とはいえど、ここまで精巧に作られているのだ。まさか女性器に限って、適当に作られているとは考えられなかったが、気になることに違いは無かった。
陰毛は生えていた。黒々とした陰毛は綺麗に形が整えられている。
「どうかしましたか?」
白いショーツを折り畳むと、友梨奈は僕のことを見た。裸の少女に見つめられ、僕は真っ直ぐに見ていられなかった。
「いや、生えているんだなと」
「ああ、人工の毛ではありますが、再生可能で剃ってもまた生えてきます。頭髪も同じです。ご主人様のお好みに合わせて、陰毛の有無、濃さ、髪型をお決めください」
自分好みにカスタマイズ出来るということか。友梨奈のデザインであるK-01は十五歳から十六歳の身体に近いとされているようだ。
無論、その当時僕は誰とも付き合ったことがないし、まして裸なんて見る機会がなかったから、果たして友梨奈の身体はその通りなのか分かりかねた。
「そうか。楽しみだな」
浴槽に溜めていた湯もちょうどいいぐらいだった。僕は身体も洗わずに浴槽へと浸かった。
「使い方は分かるか?」
「えっと」
「これがシャンプー。で、これがボディソープ。タオルはそこにあるから。シャワーはこっちを捻ればお湯が出て、こっちが水。両方捻って温度を調整すればいい」
素っ裸の少女が男物のシャンプーを興味深そうに見ているのが不思議な光景だった。さすがに今後友梨奈には女性物の日用品を買ってやらねばならない。
そう考えた矢先、僕はふと疑問がわいた。購入画面では“ない”とされていたが、果たして本当だろうか。
「なぁ、ところで友梨奈には生理ってあるのか」
「ないですよ。“ある”タイプもありますけど、友梨奈のタイプにはその機能はありません」
ホッと胸を撫で下ろした。購入する際、生理があるタイプとそうでないタイプがあることが判明した。妊娠されては面倒だし、月に一度とはいえ生理があるのが厄介だと思った僕は、生理が無いデザインを選んだ。
子供なんて要らない。成人してからこれまで一人でやってきたのだ。そしてこれからもそうだ。僕に結婚は縁が無かったということだ。あの大学のように。
シャワーで頭を洗い始める友梨奈。空気を一気に吸い込んで頬にたっぷりと溜め込んでから洗い始める。息が続かなくなったら、シャワーのノズルを壁に向け、再び息を吸い込む。
どうやらシャワーを浴びるのは慣れていないようだ。シャンプーをするのも一苦労な様子で、微笑ましく僕はその光景を見守った。