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中は蟻の巣のようだった。いくつもの部屋があった。僕たちは奥へ奥へと進んで行くと、やがて女がここの部屋だと教えてくれた。
いよいよ入るのか。中には誰もいないだろうけれど、僕はロールプレイングゲームみたいだなと思った。パーティーを引き連れてボスが潜む部屋に侵入する。
感慨に
耽る暇もなく、扉が開かれると僕は彼女に引っ張られて入室した。室内は廊下と変わらないほど薄暗かった。
「お兄さん初めてなんだって」
組んでいた腕が解かれ、僕の横から熱が逃げたようだった。
「そ、そうです」
「ふふっ。可愛い」
可愛い? 僕が? 男であるはずの僕が可愛いなんて言われるのは幼い頃以来だった。
と、いきなり僕の唇に柔らかい感触が伝わった。彼女の顔がすぐ目の前にある。キスをされたのだと気付くと、僕はなんとなく目を閉じるのがマナーだと思って、目を閉じた。
「じゃあ今日はたくさん可愛がってあげる。まずはお風呂に入ろ」
ファーストキスの余韻に浸る暇もなく、僕は服を脱がされた。ファーストキスはレモンの味なんかじゃなくて、市販の歯磨き粉に煙草臭さが混じった味だった。
彼女は煙草を吸うのか。僕は軽いショックを覚えた。大学でもオラウータンたちが吸っているのを見て嫌悪した。僕は煙草を吸う女だけでなく、煙草を吸う人間が嫌いだった。
「あ、あの君は煙草を吸うの?」
「煙草臭かった? ごめんね。しっかり磨いたつもりだったんだけどな」
彼女は悪びれることなく、ペロッと舌を出した。茶目っ気のある態度に僕は可愛いと思ってしまった。
「い、いや別にいいよ」
「優しい! 瑞希、優しい人だーいすき」
彼女に抱きつかれて思ったことがある。一つ目は彼女の名前が瑞希だということ。
二つ目は彼女の身体はとても柔らかくて、力を入れれば折れてしまいそうなほど華奢だったということだ。
「はあ……くぅ……」
あれから色んな女性を抱いた。そのほとんどが娼婦だったけれど、一様に彼女たちの身体は瑞希のように柔らかかった。
女性というのは柔らかく出来ているものだ。僕の中で生まれた固定観念通りに、友梨奈の身体も柔らかい。
胸と女性器を愛撫されてる友梨奈は切ない吐息を漏れ出している。友梨奈の小さな穴はとめどなく泉が湧き上っていて熱い。
指をクッと曲げてみる。友梨奈は小さく跳ねた。人形も感じるポイントは人と同じようだ。
瑞希に教えてもらった女性器の責め方。初めてレクチャーしてくれた先生の指導通りに僕は友梨奈を責める。