第二十三章「新聞部」
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 何時間が経っただろうか。音楽室はムッとするような精のにおいになっている。
 途中、みなみの携帯電話が鳴った。未央奈からだった。新聞部に入部するという。

 以前、和也に言われるがままダメ元で勧誘してみると保留させてくれと言われた。てっきり断わられるかと思っていたが、まさかこのタイミングで入部の意思を伝えてくるとは。
 間もなく七瀬は部を引退する。けれども廃部の可能性はなくなった。絵梨花とみなみが入部することが決まっていたからだ。
 掛け持ちを選んだ二人に加え、伊織は部を辞めるつもりはなく、むしろ積極的に出ると言い出し、今回未央奈まで加わる。更に厄介なことに、これまで顧問がいなかったが部員が増えるにあたり養護教諭の深川麻衣が顧問になるという。

 和也は気が向いたら手伝う程度だと言ってはいるが、他校に新しい彼女が出来たということだからしばらくは来ないだろう。
 絵梨花とみなみと伊織と未央奈。一気に部員が増えたのは嬉しい誤算ではあるが、人選がいくらなんでも悪かった。全員圭介と肉体関係を持っている。

 来年には妹である日奈子が乃木坂学園を受験するといい、部活はすでに新聞部に決めているようだ。留学へ行った奈々未もあと半年後に帰ってくる。

 大変な学園生活になりそうだ。
 圭介はめまいがした。現在でも厄介なのに、未来は更に泥沼のようだ。

「小休憩終わり。さ、続きをするわよ」

「まだまだ今日は帰さないから」

 水分補給を済ませた二人が圭介の元へ戻って来ると、音楽室に淫らな声が再び聞こえ始めた。
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■筆者メッセージ
以上で終了となります。
やはりメンバーを多く出すとそれなりに長くなりますね。
お付き合いありがとうございました。
( 2017/07/02(日) 15:15 )