第十八章「誘惑」
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 同級生の、ましてや友人の彼女であるみなみにフェラチオされ、圭介のペニスからはとめどないカウパーが漏れ出していた。先走り汁はすぐに舌の先で舐め取られるが、壊れた水道管のようにすぐに尿道から漏れ出した。

「舐めても舐めてもエッチなお汁が出てくるね」

 ヘラヘラと笑うみなみに今度はチューッと音を立てて吸われた。圭介は自然と腰を浮かせた。身体全体吸い込まれそうだ。

「みなみのフェラ、いいでしょ。でもね、これを仕込んだのは和也なのに酷いんだよ。『これがあれば金を取れるな』って。暗に私に対して援交を勧めているみたいなの。ね、酷いよね?」

 あまりの快楽にみなみの言葉が耳に入ってこなかった。いや、入ってくるのだが、理解出来なかった。まるで外国語のように聞こえた。

「聞いてるの」

 更に強く吸われる。ヂューッと音を立てて吸われると、“ポンッ”と離された。支えをなくした支柱のように、唾液にまみれたペニスは上下に揺れた。

「ごめん。聞こえなかったっていうか、聞き取れなかった」

「みなみのフェラが気持ちよくて?」

 緩みきったような、それでいて生殺しに遭ったかのような圭介の顔を見ればすぐにわかることだが、あえてみなみは口に出して訊いてみた。彼の口から同意の言葉を聞きたかった。
 が、圭介はわずかに顔を縦に一度振っただけだった。みなみとしては物足りなさを覚えた。もっと快楽を前面に押し出してもらいたいのに。

「気持ちいいんだったらもっと反応してもらいたいな。それとも、生田先輩のフェラの方が上手だったり?」

 処女であった絵梨花にまさか負けるわけがないと思うが、もしかしたら秘められた才能があるのかもしれない。確か絵梨花はサックスなどの楽器ではなく、ピアノではなかったか。口元で扱う楽器ならフェラチオもまた上手そうなイメージがあったが。
 どちらにせよ、みなみとしては面白くなかった。もっと彼の口から弱弱しい言葉を聞きたかったのに。ひいひいと言わせ、腰からガクガクと崩れ落ちるさまを見れば、和也との一件も笑い飛ばせそうな気がした。

「そんなことはないけど……ねえ、もう止めようよ。こんなことおかしいって」

 ペニスを腹部まで届かせんばかりにそそり立たせているくせに。みなみはムスッとしながら、屹立するペニスを握った。

「絶対イカせてやる。もうみなみのフェラなしじゃ生きていけないようにするから」

 そう宣言すると、ペニスを一気に口の中へ放り込むようにして入れた。そこから長いストロークで出し入れをすると、ギュポギュポと音がし始めた。圭介を見ると、苦悶の表情を浮かべている。その背後にある時計が目に入った。部員たちが戻ってくるまでまだまだ時間はある。
 よし、五分だ。五分でイカせてやろう。みなみはそう決めると、左手で睾丸を優しく揉み始めた。

( 2017/06/26(月) 21:57 )