第十一章「シスター」
09
 ヌルリと入るペニス。きつい締め付けが圭介のペニスを襲った。

「は、入った……」

 アダルトビデオの世界だと思っていたことがが現実に起きている。圭介の心臓は激しく高鳴り、頭は熱を帯びてボーっとしている。

「うん、そう、ね。もしかして、初めてだったりとか?」

 余裕そうな素振りを見せていたが、やはり苦しいのか真夏の声は風邪をひいたときのようなガラガラとしたものだった。

「いや、まあ、はあ」

 まさか同級生に強引に奪われたとはいえない圭介は、上手い言葉を捜したが、今の状態では見つけられるはずもなかった。曖昧な言葉に、真夏はニヤっと笑って見せた。

「そっか。初めてがお尻の穴だなんて。変態ね。ま、私もだけど」

 言いながら、真夏は動いてといわんばかりに視線を送って、身体を振った。意図に気が付いた圭介は、ゆっくりとペニスを引こうとするが、力強い締め付けに痛みを覚えた。

「ああっ、この感じっ」

 何とか根元まで引き抜くと、今度は押し込む。ローションが潤滑油となり、ヌチャっと音を立てながら上手く滑ってくれた。

「ど、どうかしら。は、初めてのき、気分は」

 ペニスを抽送させるたび、真夏の声は切れきれになった。まだ艶のある声とはいえない声だった。

「きついです。かなり」

 未央奈の中へ入れたときは、すんなりと入っていて、いつ入ったのかさえ定かではなかった。女性器と肛門ではこんなにも違うものなのか。
 もっとも、排泄するための器官と、性行為をするための器官では違うのが当たり前だ。頭の中ではそうわかっているのに、次第に圭介は快楽を求め始めた。

「あっ、あっ、早くなって、きた」

 ようやく肛門も異物に慣れてきたのか、締め付けも痛みを感じなくなっていた。もうこうなってしまうと、圭介は無心で抽送をした。
 速度を増すと、真夏の声も艶を帯び始めた。童顔で、どちらかといえば舌足らずな声の真夏が上げる嬌声。どうして女のこの声は耳に心地いいのだろう。
 下腹部に感じる強烈な快感。視覚には非日常的な光景。耳元から伝わるのは甘くて興奮を書き立たせる声。圭介のドロドロとした黒い部分が浄化されていくようだ。

「せ、先輩、そろそろ」

 腰の辺りから、ジーンとした快楽が襲ってきた。もう射精はすぐそこまできている。

「うん、いいよ。出して、中に」

 てっきり外で出すものだと思っていた圭介は、耳を疑った。肛門に出すのか?
 それでも腰の動きは止めなかった。いや、止められなかった。

 ―-本人がいいと言っているのだ。出してしまえ。
 躊躇はすぐに消えた。圭介は頭の中を真っ白にして、下腹部だけに集中すると、やがて低い呻き声を漏らした。

( 2017/06/19(月) 22:08 )