第十一章「シスター」
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 アナルセックスを求められ、圭介は戸惑いを隠せなかった。アダルトビデオだけの世界だと思っていたのに。視線の先にある真夏の尻。丸くて白いそれに透明な液体が塗りたくられている。

「ねえ、北野君も塗ってくれないかしら。こう中の方を」

 顔をわずかに赤らめた真夏が振り返ると、圭介は気恥ずかしさで顔を背けた。いつもはどちらかといえばみんなにいじられているキャラクターなのに、今の真夏はまるで別人だった。

「お願い。これを塗らなきゃたぶん裂けちゃうと思うから」

 本当にアナルセックスをする気なのだ。つい先日童貞を卒業したとはいえ、まだ女性経験に富んだわけではない。それにも関わらず、肛門を使ったセックスをするというのか。
 圭介は逡巡しながらも、ローションのボトルを手に取った。掌に液体を注ぐと、指の隙間から液体が漏れ落ちた。

「いいんですよね?」

 見た目は洗剤と変わらなかった。しかし、掌で弄ぶと、ヌルヌルとしていかにも滑りがよさそうな感じだ。

「いいよ。たっぷり塗ってね」

 キュッと窄めた蕾に指先が触れると、ピクリと反応を見せた。圭介はローションを広げた手で蕾の周辺を満遍なく触った。

「中もお願い。ギュって入れないで、ちょっとずつ挿れて」

 未知の穴が待っている。排泄物だけを出す穴に指を挿れる。昔、日奈子と遊んでいるときに浣腸をしたことがあるが、あれはズボンの上からだったし、所詮は子供の遊びだった。

「あっ……」

 指先にたっぷりとローションを塗りたくり、圭介はゆっくりと蕾の中へ人差し指を挿れてみた。爪先が、次いで第一関節まで指が飲み込まれた。

「は、入った」

「うん。そのまま軽く出し入れしてみて」

 真夏の言葉に従い、圭介はゆっくりと指を抜いた。キュポンと小さな音を立てて指が蕾から出てくると、今度はまた中へと挿れる。

「はぁ……」

 真夏が吐息を漏らすと、それだけで圭介は産毛が逆立った。こんなにも大人っぽい真夏を見るのは初めてのことだ。

「うん。そろそろいいかしら。じゃあ、北野君もおちんちんに塗って」

 ローションのおかげで真夏の尻はテカテカとしていた。圭介は言われるがまま、ローションを掌に注ぐと、自慰をするようにペニスに塗りたくった。ペニスは自分でも驚くほど固く隆起していた。

「じゃあ、挿れて」

「ほ、本当にいいんですよね?」

「ここまできて止めるつもり? 冗談言わないで。まなったんはみんなのアイドルだから。前の穴は結婚するまで取っておくけど、後ろの穴は平気なの」

 どういう理屈なのかわかりかねたが、本人がそう言うのだ。圭介は乾いた唇を舐めると、ローションをふんだんに塗った蕾へとペニスの照準を合わせた。

( 2017/06/19(月) 22:08 )