4 夏の夜空に
06
「私・・蒼先輩が好きです・・・」

「え?」時間は動いているのに、俺と遠藤の周りだけ時間が止まっているように見つめ合った目が離れようとはしなくて、連続して上がったさまざまな色の花火が俺たちの時間を動かした

「ずっと好きでした・・・・だから今日手を繋いだのも、間接キスしたのも・・・蒼先輩だからです・・他の人にはやりません・・」

「お・・・おう」

「私・・先輩が撮った写真が好きで・・部活には言ったらもっと先輩のことが好きになって・・・だから・・・蒼先輩のカメラで私を撮ってくれませんか?」



ずっと遠藤は可愛い後輩だと思っていた。この半年間、なんでこんな子が写真部なんか入っているのか分からなかった。写真部なんて部活の中じゃマイナーで誰が入っているのかなんてみんな分かってないだろう。

部室でカメラを嬉しそうに触って「先輩こっち向いてください!」って言ってむりやり写真を撮って嬉しそうにしていたのも、先輩達と楽しそうに話してたのも、テスト期間中に難しい顔して「勉強教えてくださいー」って困った顔をするのも思い返せばずっと見てきた




「ごめん・・・撮れないや」

「なんでですか?」

「俺・・・ずっと好きなやつがいるんだ・・。それに遠藤にはもっといい人がいるよ」


ずっと遠藤は思い返すと近くにいて、でもそれでも俺は撮りたいとは思わなかった。


俺が撮りたいのは保乃だけだから


「先輩ずるいですよ・・・・ふるならもっと・・そんな悲しそうな顔をしないでください!」

急に立ち上がった遠藤はそのまま勢いよく、階段を降りていってしまう。残された俺に夜空に舞う花火の音だけが鳴り続けた


about5 ( 2020/02/14(金) 22:03 )