2 俺にとって
02
「さくちゃーん」

「あっこんにちは、しおちゃん」

「さくちゃんがしおちゃんって呼んでくれた!」

入ってきたのは1年生の遠藤さくら、のんびりした彼女もまた学校内でも人気があるようで、地味に学校の中では写真部の顔面偏差値は高いと言われる。そんな遠藤は久保先輩と仲がよくて、久保先輩が溺愛している。

「今日は先輩達来てたんですね!うれしいです!」

「うんうん!さくちゃんに会いたくて」

「嬉しいです!蒼先輩も来てたんですね」

遠藤が来たことで、久保先輩はもちろんのこと、残りの3年の先輩達も集まっていく。そんな遠藤が部室の奥の椅子に座っていた俺に気づいたらしく挨拶をする。こんな部活の仲でちゃんと写真を撮っているほうの俺だからなのか、地味に好かれてしまったのか、単にバカにされているのか部活の中では慕われてる俺は「おつかれっす・・」と消えそうな声で返事をする。別に遠藤が苦手って訳ではないし、むしろ今だって先輩達に詰め寄られたタイミングで部室に入ってきてくれて感謝している。でもあんまり後輩って物の扱い方が分からなくていつも適当に相手している。


「そういえば、先輩達さっき何話してたんですか?」

「あ!そうだ蒼君に彼女がいるかどうかって話!さくちゃんも気になるよね?」

「え!蒼先輩彼女いたんですか?」

あーやっぱりさっきの感謝はなしだ。遠藤のおかげでまた先輩たちプラス遠藤が興味津々な様子で俺のところに集まってくる。面白がっている佐藤先輩と、目をキラキラさせている久保先輩と、なんとも言えない口をうーっと突き出している遠藤の表情は謎だが、まぁ馬鹿にしているのかしらないけど

「・・・・いませんよ・・彼女なんて」

「えー!やっぱりいなんだ。蒼君って結構かっこいいと思うのに、逆に性格に難があるとか?」

久保先輩は俺のことを褒めているのか、それとも単に馬鹿にしているのか、でも本人には悪気がある訳ではないからたちが悪い。

「なんかいつもスカしてるからじゃねーの、いい意味で生意気だしよ」

「佐藤先輩だって彼女いないじゃん」

ケラケラと馬鹿にしたように笑う佐藤先輩に、俺もいい加減ちょっと反撃で

「俺はな!よく聞け井上蒼、俺はできないんじゃないんだ、作らないの!」

「じゃー俺もそれで」

「やっぱり生意気!」

こういうふざけたやりとりも嫌いじゃない。先輩達とも、さっきまでと違い笑っている遠藤も、こんな雰囲気がやっぱり結構好き


一頻り笑った後で、俺は何の気なしにカメラを手にとって、ファインダーを覗き込みながら、ぐるりと部屋のドアの方へ向けた。




about5 ( 2020/01/25(土) 20:51 )