第7章
恋愛解禁祝い
「いやー優希、まさかこんな夢の様な話あるかよ。」
「全くだ。ま…嬉しいけど。」
「こんなことあるんだなぁ…」

優希と悠太の会話はこの話で持ちきりだ。テストの結果よりも恋愛禁止の件が一番の話題だ。

「なぁこれからどうするよ?」
「どうするって、恋愛禁止が無くなっただけで、学校が消えるわけじゃねえからよ。」
「そんなん言われんでもわかる。だから、これからの放課後よ。ほら、今までは真っ直ぐ家直行だったけど、明日から寄り道オッケーなんだぜ?」
「寄り道って…誰か襲う気だろ?」
「失敬な…これでも礼儀はしっかりしてる方だぞ?」
「いつも山本先生をいやらしい目で見てるお前が言う台詞じゃねえな。」
「う…お前はどうなんだよ?」
「俺か?正直に言うが山本先生をいやらしい目で見ないわけがない。」
「ある意味尊敬するお前を。てか、お前いつからそんなキャラになった?」

そんな会話をしながら自販機へ…

「ふぅ…さっきはしゃぎ過ぎて喉痛いんだよ。」
「アホだなぁ…」
「参ったなこれは…」
「相変わらず仲がいいなお前らは。」
「お…多田さんに渡辺さん…」
「ふ…私に媚び売ってんのかい?」
「ち…違いますよ…」

さっきまで威勢よかった悠太が一気に縮んだ。

「まぁまぁ愛佳、そんなにガン飛ばすな。」
「チッ…」
「らぶたん…ごめんね悠太君、まだ悠太君のことらぶたん信用してないから…」
「ですよね…」
「一生信用なんかないこいつに。」
「ひでぇ…」
(愛佳と悠太はある意味お似合いだな。)

優希は苦笑いを浮かべた。

「それより聞いたか優希…」
「ん、恋愛禁止の件か?聞いてないわけないだろ?」
「だろうな。これでおきなく何でも出来るわ。」
「何でもってらぶたん…」
「優希たちは何すんだ?」
「何すんだって何も…」
「相変わらずつまらねえ生活してるな。」
「らぶたん…」
「ま、こいつはそれ以上だろうけど…」
「はは…」
「そうだ優希、今日家来ねえか?」
「また急だな、禁止解禁祝いか?」
「そういうとこは鋭いな。」
「それしかねえだろ?」
「だから今日は家に泊まれ、そのまま明日学校行こう。」
「らぶたんでも…」
「いいだろ優希?」
「わかったよ、もう愛佳らん家わかったから一旦家寄って向かう。」
「お前も来い悠太…」
「えっ…あ…」
「優希と来い、来なかったらしばく…いいな?」
「は…はい。」
「じゃ。」

愛佳たちは帰って行った。

「ゆ…優希…お…俺って…」
「何もしなければ大丈夫だ。愛佳に恐怖心ありすぎだろ…」
「怖いもんは怖いんだ。」

悠太はしばらく『愛佳恐怖症』から開放されないだろう…

夜明け前 ( 2020/08/19(水) 18:43 )