第6章
特別授業
「優希君、うちが図書室にいるの知ってるんや。」
「勘ですよ勘。」
「勘でもすごいわ。てっきりうちの跡ついて来たかと思ったわ。」
「ストーカーじゃありません。」
「わかってるって、冗談だよ冗談。」

こう話してると山本先生は昨日の件は全く気にしてないと優希は思った。

(やっぱ話って昨日の件じゃないのかな?とりあえずよかっ…)
「それよりさ優希君…」
「はい。」
「昨日のことやけど…」
「えっ…」
(やっぱり昨日の件でよびだされたのか…)

希望は撃ち砕かれた。優希は慌てて謝罪する。

「あ…あの昨日のはほんとに…」
「いや優希君あのことじゃなくて…」
「えっ…じゃあ何です?」
「ほら、昨日授業受けてなかったやろ?やでさ、今日の6限目優希君だけに特別授業しようと思うねん。」
「特別授業!?」
「そんなに驚くことか?うちは優希君のためを思って言ってるだけやで…ええやろ?」
「確かに昨日受けてなかったからなぁ…わかりました。」
「ほんなら、6限目図書室来てな。」
「わかりました。てか、どうするんですか他の子らは?」
「それならもうさっしーに言ってあるでさ。」
「さっしー?さっしーって…」
「優希君らの担任の先生や。」
「ああ指原先生か。わかりました、じゃあ6限目お願いします。」
「任せとき、遅刻厳禁やで?」
「了解です。」

優希は図書室を後にした。昨日の件とはいえ、あのことではなかったので優希は少しホッとした。

(ふぅ…ちょっと慌てた。えーと6限目は図書室で先生とマンツーマンか。てか、図書室空いてんのかなあの時間…まぁ、先生が言うから空いてるんだろうけど。)

優希は若干心配しながら教室に戻って来た。

「よぉー優希、山本先生に呼び出されてよ…話は何だったんだ?良い話だったんだろ?」
「話か?ああ…『悠太君って変態だよね。』って話してた。」
「待てーい!嘘は止めろよ。」
「わかったか?」
「ったくよ…お前の嘘は恐ろしいからよ…」
「いいだろスリルあって…」
「嘘なんかにスリルはいらねえんだよ。」
「なーんだ、つまんねーの。」
「全く…それより何の話をしてたか教えろよ?」
「さあな…お前に話すことはない。」
「ちぇっ…いけずだなほんとに…いいや、どうせ先生とデートの約束したんだろ?」
「言っとけそうやって、お前に突っ込む気もない。じゃあな。」

優希はどこか行ってしまった。そして、優希は5限目終了後、図書室に向かった。

夜明け前 ( 2020/08/18(火) 13:36 )