第5章
まさかのボッチ!?
「ねぇお兄ちゃん。」
「どうした?」
「私がもし誰かと付き合ったらどうする?」
「え?何だよ急に…」
「えーいいじゃん別に。気になっただけだもん。」
「気になっただけって…美音はどうなんだよ?」
「私は前お兄ちゃんに言ったじゃん、『好き』ってさ。でも、お兄ちゃんは私のこと好きかわかんないしさ、もしかしたら私のことそんなに…」
「それ以上言うな。俺も同じだよ。俺は美音のこと好きだよ。」
「ほんと?嬉しい…でもさ、もし私が誰かと付き合ったら、お兄ちゃん泣くのかな?」
「泣かねえよ。」
「ほんとに〜?怪しいなぁ…」
「俺をからかうな。それ以上すると、一生何もしたらんぞ?甘えもな。」
「やだよ、お兄ちゃん許して?」

美音は上目遣いで優希を見る。優希は美音の上目遣いにはことごとくやられている…

(ほんと俺はバカ兄だなこりゃ…)
「じゃあお兄ちゃんに彼女が出来たら、私その人からお兄ちゃん守る。」
「何でだよ…」
「だって私の側からお兄ちゃんが…やっぱりお兄ちゃん許して私のことそんな感じで…」
「あーもうめんどくせー!」

ピンポーン

「誰か来た。お兄ちゃんの彼女さんかな?」
「いるかよ。てか、俺の学校恋愛禁止だからそんなの…って聞いてねえや。全く…」

優希が言う前に美音は玄関に向かっていた。

「お兄ちゃんは私が守る!ってあれ…柊ちゃん?」
「ヤッホー!」
「どうしたの?」
「おお〜柊か。久しぶりだな。」
「お兄さんご無沙汰です。」
「何しに来たの?」
「何しにって、実はね…明日私と旅行行かない?」
「旅行?でも、つい最近遊んだばっかじゃん?」
「えーいいじゃん、それともお兄さんと行くってのもありだけど…」
「お兄ちゃんはだめ!絶対柊ちゃんとエッチするから!」
「いや…あのなぁ…」
「えー…だめなの?」
「だめ!お兄ちゃんは私だけなんだから!」
「ブラコンかお前は…」
「じゃあ決まりだね。」
「うん。明日だよね?」
「そうだよ。お兄さん…」
「何だ?」

柊は優希の耳元で囁いた。

「今度、みーおんがいない時にこっそりエッチしましょ?」
「いやだから…」
「じゃあまた、みーおん明日ね。」

柊は嵐のように去って行った。

(最後の台詞はいらねえだろ…)

優希はため息をついた。

「お兄ちゃん…」
「どうした?何だ…その目は?」
「柊ちゃんと何約束したの?」
「いや何も別に…」
「惚けても無駄!」
「やめろって…」

この後美音にかなり問い詰められたのは言うまでもない…

夜明け前 ( 2020/08/18(火) 09:32 )