第4章
第一印象
らぶたんとまゆゆの二人と帰っている優希は、何故か不安を感じていた。

(俺…家に行くのはいいけどさ、恋愛禁止やのにええんかなぁ。また呼び出しもごめんやし、かといって今更『帰ります。』って言ったら、それはそれでややこしくなるし…どうしたものか?)
「なぁ…お前。」
(大丈夫なのかなぁ…)
「おい!」
「え…あ、はい。」
「お前名前なんて言うんだ?」
「え、向井地優希です。」
「優希っつうんか。うちは多田愛佳、みんなからは『らぶたん』って呼ばれてる。で…」
「私は渡辺麻友、『まゆゆ』って呼ばれてます。あの、優希君も是非…」
「はあ…」
(多田さんに渡辺さんね…そういや、名前知らなかったな。)
「お前はよ、どうだ?こんな女子とは?」
「ちょっとらぶたん…せっかく名前聞いたんだから優希君って呼びなよ。聞いた意味ないじゃん。」
「いいじゃん別に…」
「まあ別になんでも呼んでください。えーとなんでした質問?」
「だから、こんな女子とはどうだ?居心地いいか?」
「えーと…正直居づらいです。」
「そうだよね。」
「あの…別に嫌ではないんですけど、その…こういう女子とはあまり会わなかったんで…」
「だろうな。しかしお前…あ、えーと優希だったな、人思いなんだな。」
「そんなことないですよ。」
「こんな男子とは初めて会ったな。」
「そうですか。」

褒めてるようではないが、ちょっと嬉しかった優希だった。そのまま三人は家に到着した。

「うちら二人の家だ。まぁ優希の泊まる部屋はないが…」
「いいですよリビングで。」
「だめだよ、せっかく招待したのにリビングでいいなんて…どっか空いてる部屋…」
「大丈夫ですよほんとに。逆にこんな俺なんかを、誘ってくれただけでも嬉しい限りです。」
「お前…いい奴だな。」
「普通ですよこれが。」
「そっか。」

普通に会話をする優希と多田、優希は初めて会った多田の印象とは違うのに驚きを隠せなかった。

(外見で判断したらほんとにだめだな。最初ヤンキーかと思ったけど、全くそんな感じしないし…まぁ悠太には永遠ヤンキーだと思うんだろうなきっと…やっぱ二人とも普通じゃん。)
「あの…もし良かったら先お風呂どうぞ?」
「え…いいんですか?」
「構わん、疲れとっとけ。うちらに気を使わなくていいから。」
「あ…ありがとうございます。じゃあ遠慮なく…」

優希は風呂場へ…しかし、この後優希は驚きの現場を目撃する…

夜明け前 ( 2020/08/18(火) 09:07 )