第4章
バレ覚悟
二人に捕まってたのもあり、優希は買えずじまいだった。

(結局買えなかった。)
「あれ、優希遅なかったか?」
「ん?ああ…ちょっとな。」
「何したんだ今度は?」
「何もしてねえよ。ただ、あの二人に捕まっただけだよ。」
「あの二人って…まさかお前拉致られたのか?」
「アホ、ただの立ち話だよ。拉致ってな…」
「立ち話ってそんなに長いか?」
「色々あるんだよ。まあそれ以上は言わん。」
「優希に恐怖が来るように…」
「変な願い言うなよ…何のおまじないだよ。」
「同じく…」
「テメェらしばくぞ?」

さすがの優希もこれにはイラッとしたようだ。その後優希は美音に電話をいれた。

「もしもし美音?」
《あ、お兄ちゃんどうしたの?》
「今日兄ちゃん帰り遅いから、もしかしたら泊まるかも…」
《えー…明日から私柊ちゃん家泊まるのに…急過ぎだよ。》
「すまんけど、俺の服用意しといて。」
《はーい…》

美音が不貞腐れるのは優希には計算済みだった。そして放課後…

「じゃお前らゴールデンウィーク楽しめよ。」
「ああ。え、優希どこ行くんだ?」
「ちょっとな…じゃ。」
「行っちまったよ。」
「優希に恐怖が来るように…」
「まだ唱えてたんか悠太?」
「恐怖が…優希に襲いますように…」
「最低な人間だなお前は…」
「お前も言えねえよ尚。」

一方の優希は約束の校門前に着いた。あの二人は既に待っていた。

「結構早く来るんだなお前。」
「まあはい…」
「いい奴だな。」
「え…」
「じゃ行きましょか?」
「あの…今日って家寄るだけですか?」
「家行くってことは泊まりだろ?少しは考えろよ全く…」
「あ…あははそうですよね。」
「何かあるの?」
「あの…ちょっと家寄りたいんですが…」
「はぁ?お前ここから家近いのか?」
「まあはい…」
「ここで待ってるからよ、早く来いよ。女子を長く待たせんなよ。」
「はい。」

優希は急いで家に向かった。いつもゆっくり帰る家路を急いで帰るのは初めてだろう…

「はぁ…はぁ…美音俺の服…」
「はいこれ…」
「悪りぃな美音…」
「もう…やっぱり泊まるんだね。」
「ああ…悪いな。後半は一緒に買い物でも行くか?」
「うん。その時はお兄ちゃんとまたエッチなことしたいな…」
「あのなぁ…」
「冗談だよ冗談、お兄ちゃん気をつけてね。」
「ああ。」

優希は家を後にし二人を待たせてる校門前へ…

「すいません…大丈夫です。」
「行くか。」
「はい。」

三人は家へ…

(女子の家とかあまり行かねえからな…元カノの家以来か?)

優希はそんなこと思いながら家へ向かった。

夜明け前 ( 2020/08/16(日) 21:55 )