第2章
不満の指原先生
向かった場所はある廊下の曲がり角だった。

「先生何ですか?」
「ねぇ、この学校の裏校則は誰にも言ってないよね?」
「大丈夫ですよ。まぁ朝方尚と悠太に聞かれましたが誤魔化しました。相当しつこかったですけど。」
「良かった。皆んなに言っちゃだめだからね?くれぐれも“裏校則”だから。」
「わかってますよ、安心してください。」

念には念をと優希に言う指原先生…そんなに心配なのだろうか?

「先生…もしかして俺を疑ってます?」
「違う違う、広まったら学校中がえらいことになるし、私がね…ちょっとその…」
「それ以上言わなくてもわかってますよ。というか、それだったら俺だってそうですよ?別に先生が重荷を背負わなくてもいいじゃないですか?」

指原先生は不安そうだったが、優希の説得により少し安心したように見えた。やはり、あんなことした以上、責任は生徒以上に重い…それが指原先生の不安になっていたのかもしれない。

「ま、お互い気をつけましょ?」
「そうね。ありがと優希君。」
「いやいや、俺は何もそんな…」
「ありがと。それより、優希君今日の放課後空いてる?」
「空いてるって、先生まさか…またですか?」
「うん。でもこの前は学校だったけど、今日はその…私の家でね。」
「先生…どんだけ不満あるんすか?大丈夫ですか?」
「ううん…私もさ最近疲れでね。全くリラックス出来ないんだよね…」
「確かに…それは大変ですね。」
「うん…で、今日いい?」
「まあ、いいですよ。」
「ありがと。じゃ放課後校門で待っててね。じゃあ放課後よろしく。」

そう言うと指原先生は戻って行った。また先生とすると思うと、優希の一物は思わず反応した。

「先生とまた…あ!」

ふと、優希はあることを思い出した。

(しまった…今日予定があるのすっかり忘れてた。どうしよ…今更先生に言ってもなぁ…そうだ、あいつに頼めばいっか。)

優希は急いで教室へ戻って行った。

夜明け前 ( 2020/08/16(日) 07:48 )