許してな
「ふぅさっぱりした。」
頭をタオルで拭きながら優希は出てきた。
「お兄ちゃん、早く。」
「そんな焦るなよ、ほら…」
「んふふ…」
またお姫様だっこされ美音の口元が緩んだ。
「お兄ちゃん…寝ちゃいそう…」
「いいよ。風呂入ったし歯も磨いただろ?」
「うん…」
美音はウトウトし始めそのまま寝息を立てた。
(可愛い寝顔だな…たまに憎たらしい面もあるけど、こういうときはそんな感じ全くないな。はは…この時間が美音には至福の時なんだろうな。)
「さあて…上に上がるか。」
優希は起こさないように立ち上がると、上に上がった。自分の部屋に入ると美音をベットに寝かせ、椅子に座った。今日は意外とドタバタだった。登校して早々に疑いがかけられ居残りとなり、授業が全く身に入らなかった。そして噂だと思った裏校則が事実だと知り、指原先生と一線を越えてしまった。
(先生と気まずいな…でも、あまり表に出さなければ大丈夫か。いや…明日から顔合わすのが気まずい…)
「お兄ちゃん…?」
「美音…起きちゃったか?どうした?」
「寝ないの…?」
「明日の用意したら寝るから、先寝な。」
「一緒に寝ようよ…」
「ちょっと待って、直ぐに準備出来るから。」
「お兄ちゃん…さっき言ってたじゃん?」
「はぁ…わかったわかった。明日の用意は明日するから。俺が言ったもんな。」
優希は布団に入った。そして…
「どうしてほしい?」
「うーん…頭撫でてほしいな…」
「こうか?」
「うん。お兄ちゃん…」
「ん?」
「もし、私が妹じゃなかったらどうした?」
「え…いきなりなんだよ?」
優希は言葉が出なかった。美音が自分の妹でななかったら…優希はどうしてただろう…全くわからない。
「うーん…同い年じゃないからな…わかんない。美音はどうしてたんだよ?」
「私だったら、お兄ちゃんと付き合って結婚する…」
「結婚?結婚か…」
「だって私…お兄ちゃん好きだもん…」
「ありがと。」
「お兄ちゃん…好き。」
「俺もだ美音…」
優希は額にキスした。美音は嬉しくて優希に抱きついた。
「はは…ほんと甘えんぼだな美音。」
「お兄ちゃん…おやすみ。」
そう言って美音は寝てしまった。
「おやすみ…美音。」
優希も寝た。明日はどうなるかわからないが、またしばらくはこういう時間はないだろう…