第1章
朝の日常
ジリリリリ…ジリリリリ…

「んん…もうこんな時間か…」

眠い目を擦り、優希は目覚まし時計を止めた。

(もう少し寝るか…)

目覚ましが鳴ったにも関わらず、優希はまた寝ようとした。

「お兄ちゃん…お兄ちゃんもう朝だよ、早く起きて!」
(美音か…一人で起きれるっつうのに…)
「もううるせーな…って何だその格好は?」
「お兄ちゃん起きるなら返事してよね?」
「それは悪かったけどよ…何で下着姿なんだ?」

優希を起こしに来た美音は、上下下着姿だった。優希は呆れてものが言えなかった。

「服着ろよな流石に…」
「だって暑かったんだもん。それに家の中だから良いじゃん。」
「そういう問題じゃないだろうがよ…」
「どうしてお兄ちゃん?あ…まさか、私の肌が見て興奮してる?」
「からかうな全く…さっさと下行くぞ。」
「お兄ちゃん、おはようのチューは?」
「やんねえよ、ほら行くぞ。」
「ぶぅ…ケチ!」

不貞腐れながらも美音は先に下に下りて行った。

(はぁ…もうちょい寝たかったけど、仕方ない。飯食って学校行くか。)

優希もベッドから出て下に下り、朝飯を食べる事にした。キッチンでは美音がまだ不貞腐れていた。

「美音…おーい美音…」
「………」
「あかん…だめだ、拗ねてる。」
「お兄ちゃん、妹の頼みを聞かないなんて最低…」
「あのなぁ…」
「フンだ!はい、どうぞ!」

雑に優希の朝飯を用意すると、またキッチンに戻って行った。

(ったく…世話の焼ける妹だなぁ…しょうがない、あれ渡すか。)
「美音、ちょっと来い。」
「何?今忙しいんだけど…」
「まぁまぁそう言うな、ちょっとだけだから。」

美音はまだ不貞腐れていた。

「何?」
「はいよ。これ、この前買えなかったやつ。美音、欲しかったんだろ?」

優希が渡したのはポーチだった。

「お兄ちゃん…買ってくれたんだ…」
「ああ。前ん時、金無くて悪かったな。だから、その…なんだ、お詫びじゃねえけどな。」
「お兄ちゃん…うん、ありがとー!」

美音は嬉しさのあまり、優希に抱きついた。

「ちょっと美音…全く、さっきまで俺に拗ねてた奴か?」
「お兄ちゃん好きぃ…ねぇ、今日早く帰って来てね?」
「わかったわかった。」
「ほんとにわかった?」
「わかったって。だから、いい加減離れろ。飯が食えねえ。」
「あ…ごめんなさい。」
「こんな兄ちゃんだけど許してな。」

優希は美音の頭を撫でると、また食べ始めた。そして着替えを済ませると…

「じゃ、美音戸締まり頼んだ。俺行くから。」
「待ってお兄ちゃん…」
「ん?どうした?」
「チューして?」
「はぁ…しょうがないなぁ…」

優希は溜息を吐いたが、美音の頬にキスをした。だが、美音は少し不満だった。

「えー…こっちじゃないの?折角突き出してたのに…」

美音はまた不貞腐れそうになった。

「こっちは帰って来てからな。美音、それで良いか?」
「うん、わかった…お兄ちゃん、絶対忘れないでよ?もし忘れてたら、明日からずーっと『チューして?』って言うからね?」
「マジかよ…それは困る。」
「だから、絶対忘れないでよ?」
「わかった。じゃ、後は頼んだよ。」

優希はそう言うと家を出た。

「お兄ちゃん絶対忘れてそう…まあいいや、忘れてくれた方がいいし…だってずーっとチュー出来るし…えへへ。)

美音はニヤケて仕方なかった。

■筆者メッセージ
内容は変わってませんが、少し文言を追加したりしてます。rev.と思ってくれるとありがたいです。
夜明け前 ( 2019/03/09(土) 16:26 )