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一章 アイドルを目指すもの
今の自分
「いただきまーーす!!」


俺が帰ってくるちょっと前に料理ができたみたいで店に入ると既に料理が並ばれていた。なのでさっそく食べることに。

みんな「美味しい〜!」と声を上げて食べている。


母トリオ「ありがとう〜」
森田「海人先輩も同じ味を作れるんですか?」
海人「ああ。」
井上「料理できる系男子ってことですよね?最高すぎません?」


最高か……。そんなこと久しぶりに言われた気がする。いつも男だからという人ばかりだ。


海人「知らん。」


下手なこと言うとめんどくさくなりそうだから適当に終わらせたがまた新たな問題が起きる。


海人「おい!💢人のアルバムを勝手に見るな💢」
小林「それ私のやつ💢」
渡邉「私のもあるじゃん💢」
三人「見るな💢💢💢💢💢」


母さんたちがみんなに見せるためにわざわざ持ってきたようだ💢


母「このときはたしかてちちゃんと初めて手を繋いで二人で顔を赤くしてるのよwまだ3才w」
土生「尊死」
小池「いやいや、尊いけど死んじゃアカンwでもかわいいわ〜!」
松田「この泣いてる写真はなんですか?」
母「それはかくれんぼしてたら見つけて貰えなくて寂しくなっちゃったやつねw」

海人「母さん💢💢」


流石に恥ずかしい。当時のことを全部覚えているわけではないけど。


海人「この話は終わりだ!さっさとご飯食べ…ってもう食べ終わってるし。」


早いなこいつら。


母「相変わらずツンデレねw」
小林母「いやいや、私たちが言えるセリフじゃないからね?w」
海人「へぇー。商店街の人達が言ってたの本当だったんだ。」


母さんの顔が曇った。母さんにとって当時は黒歴史なのだろう。


母「どうせ魚屋の兄さんや駄菓子屋のおばちゃんたちから聞いたんでしょ。昔はツンデレだったみたいなこと。」
海人「そう。」


俺たちの話についてこれないメンバーのために説明した。


土生「親が子ってやつですかw」
小池「ちゃう!親が親なら子も子!もしくは蛙の子は蛙!」
海人「土生の場合は通じれば問題ない。」
菅井「えっ!やけに土生ちゃんに優しくない?wいきなり贔屓?しかも土生ちゃんを?w」
守屋「贔屓禁止だかんね?💢」


別に贔屓してるわけじゃない。
めんどくさいからその場から去ると今度は七瀬さんが話しかけてくる。


逃げ場がない。


七瀬「ねぇ!たしか当時の握手会でななとかずみんにところによくきてくれたよね?」
海人「そんなことあったですね。」
七瀬「他にも好きなメンバーっていたの?」


急に何を言ってるんだこの人。まあ嘘つくようなことじゃないか。


海人「いましたけど。」
七瀬「ちなみに誰?」
海人「飛鳥……ちゃん……。」
七瀬「飛鳥のこと好きなんや!まいやんって言うと思ってたw」
海人「あのツンデレ妹感が好きです。」


飛鳥さんか。懐かしいな。
いつかできるから今日できる
乃木坂で1番好きな曲。二人がセンターやってることもあってかなり好き。


七瀬「じゃあダンスレッスンの先生として呼んであげるね!いくちゃんを歌のレッスンで呼ぶのは確定してたんやけどダンスが決まってなくてw」


ん?ちょっと待て!


海人「俺の好きなメンバーって理由で呼ぶんですか?」
七瀬「うん!でも結婚してるから難しいかもしれない。」
海人「たしか当時の芸能科のマネージャーであり、乃木坂商事の社長の息子、会長の孫の…。」
七瀬「そう!でも妊娠してるから無理かもw」


この人は生徒に向かって何を言ってんだ。


海人「は、はぁ…。そういえばGWに合宿やるんですか?高校の部活ってそういうイメージある。です。」
七瀬「もちろん!また今度話し合いするよ!顧問、キャプテン、監督の3人で」
海人「わかりました!」
七瀬「それじゃよろしくね!」


七瀬さんってこんな明るい人だったのか。先生というよりは友達みたいだ。


原田「あーー!先生のこと贔屓してるー!💢」
母「なあちゃん、逃げて!」


見つかったー。しかも母親たちも参加してるし。マジでめんどくさい💢


海人「俺は疲れたから風呂に入って寝る。じゃあな!」


俺は2階へ上がり本当に風呂に入った。


海人「はぁ…。協力…。そんなこと弱者がすることだ。自分が弱いから誰かと協力する。そして裏切られる。」


湯船に浸かりながらそんなことを言っていると…。


小林「何言ってんの!たしかに裏切る人もいるけど裏切らない人もいるでしょ!」
渡邉「そうだよ!私たちやてちみたいにさ!」
海人「そんな綺麗事…。」


・・・

ん?

なんか小林と渡邉の声が聞こえたような…。

ばっしゃーーん!!

海人「っておい、閉めろ!」
小林「小林由依、入りまーす!」
渡邉「渡邉理佐も入りまーす!」
海人「早く帰れ!てかせめてタオルを巻け!💢」
渡邉「いいから話してみてよ。」


二人は無視して風呂に入ってきた。まあいい。てちもそうだったからあまり気にならん。


海人「最終的に頼れるのは自分の力のみ。だから学力、権力、武力、様々な力をみにつけてきた。」
渡邉「でもその力は本当に自分のために身につけたの?私にはママさんやてちを守るために見えるんだけど。」
海人「そうだ。ってかママさんって…。」
小林「あのあとみんなそう呼んでるよ〜。でも私も誰かを守るために自己犠牲をしているように見える。」


言われてみればそうかもしれない。これ以上は何も失いたくない。その想いが俺を強くした。


海人「目からアイスが…」
小林「アイスなわけないでしょ!w泣いていいんだよ…。」
渡邉「実はね。私とゆいぽんとおぜはてちに頼まれてたんだ。君のこと。親が知り合いってことでw」
小林「海人の心を助けてほしいって。」


ガチャン!


尾関「お待たせ!」


何でこいつら素っ裸で普通に入ってこれるんだ?


海人「タオルを巻け!💢」
尾関「グハ!」

俺は自分のまだ使ってないタオルを尾関にぶん投げた。他二人はもう仕方ない!


〜数分後〜


尾関「そういえばてちそんなこと言ってたかもw」
海人「とりあえず俺の力だけじゃ足りないときは頼らせてもらう。それ以外は自分でやる。」


それが明日からの俺の生き方。これからは過去の俺とは一旦おさらばしよう。

深見飛彩 ( 2022/06/12(日) 20:56 )