序章
新たな道
転校初日の午後
A組にみーぱんがやってくる。


美玲「大ちゃん!ちょっと来て!」
大我「どこに連れてく気?」
美玲「大丈夫!悪い場所じゃないからw」
大我「答えになってない!」


みーぱんに腕を引っ張られてやってきたのは昔の音楽室。当時は吹奏楽部が使っていたみたいで建物の中には楽器置き場もある。


美玲「靴はこっちに隠してねw」
大我「さっき立ち入り禁止ってなってただろw」
美玲「大丈夫!」


当時は音楽室だが今は物置部屋。そんな場所を拠点にしてくつろいでいるメンバーたちがそこにいた。


大我「君はたしか月バスに載ってた……」
渡邉「渡邉美穂です。としさんの言ってた幼馴染ですよね?
たしかバスケ四天王の一人!バスケの他にも去年甲子園にも出場したすごすぎる人!」
大我「よく知ってるな。
ところでここはどういう場所?」


そこにいた加藤史帆、佐々木久美、高本彩花、東村芽依、渡邉美穂は素直に答えた。

涼しいからここを基地にしていると。


美玲「要するにここは私たちの秘密の場所ってことw
それよりさ!大ちゃんって今は生田絵梨花さんの弟なんでしょ?アイドルのなりかた教えてよ!」
大我「知るか。」
彩花「大ちゃんって未だに自分勝手なんだね。小2の時だって……」


頬に流れる涙……震える声……。
大我の心に罪悪感が芽生えた。

(挨拶しないで勝手にいなくなって悪かった。)


大我「ごめん。あのとき色々あってな。本当は中学でこっちに戻ってこようとしたんだけど向こうで大切な人ができて帰れなかった。でもこれだけはわかってほしい!
今でもみんなのことは大切に思ってる。」

(あや……わかってほしい。)

ガラガラガラガラ バン!!


深川「あなたたち!ここは立ち入り禁止です!って何回言えばわかるの!💢
ん?彩花ちゃんどうしたの?」
久美「大我くんが泣かせましたw」
大我「嘘つくな!」
彩花「大丈夫です……。」


(てか丁度いいな。アイドルのなり方をまいまいに聞いてみようか。
てゆーか、もしかしてみんなまいまいが元乃木坂芸能科なのを知らないのか? )


疑問に思いながら深川の前へ出る。


大我「深川先生!ここはアイドル部の部室だから!メンバーはこれしかいないけど。
深川「アイドル部か……。おもしろいこと考えてるねwならいいや!メンバーが集まって掃除も完了したら申請書を私のところに持っておいで!」
大我「それって……。」
深川「元芸能科の私が顧問になるよ♪」

「えぇーーーーー!!」

芸能科という言葉に驚いたのかその場にいる女子全員が驚きの声を上げた。


久美「てことはあの白石麻衣さんや齋藤飛鳥さんと同じ……。」
深川「そう!知らなかった?」
史帆「初耳……。」
大我「聴き逃しただけじゃないのか?w」
彩花「そんなわけないじゃん!大ちゃん最っ低。」


(あや💢たしかにいなくなったことに関しては俺が悪いが流石にイライラしてきた)

大我の眉間に皺が寄り始めて顔にある古傷が浮かび上がった。異変を察した深川と美玲と久美が大我を外へ連行。


〜大我サイド〜


やっちまった。あやは悪くないのにな。当時はあんなに仲良しだったのにな。


美玲「顔が元に戻った。もしかして落ち着いた?」
大我「みーぱん。久美さん、深川先生。ありがとうございます。」
深川「何があったのか彩花ちゃんにはお話しなきゃね。自分から言いにくいなら私が言おうか?」
大我「自分で言います。」


とりあえずあやと話すか。話さないと何も変わらない。
アイドルはそれからだ!


俺は電話であやを呼び出した。近くにいることもあってすぐに来てくれたんだ。


大我「あや、急にいなくなってごめん。」
彩花「ううん。こっちこそ何も聞かないで怒ってばかりでごめんね。ホント自分が嫌になる。」
大我「あやは悪くないから嫌にならないで。あのときこういうことがあってさ。」


まずあやとこそこそ見張ってるメンバー数名に真実を話した。


彩花「そんなことあったんだ……それなのに……。」
大我「大丈夫!そんなことよりあの店のかき氷でも食べに行こ!」
彩花「うん!行く!」
史帆「としちゃんも行くーー!」
大我「やっぱり聞いてたか。ビリは1位の人にアイス奢るってことで良いよな?w」
久美「あっ!ズル!w」


ってことでみんな付いてきちゃった。本当は2人で行きたかったけどしゃーない。

結局みんなそれぞれ自分の分を出して思い出のある河川敷へ。


大我「懐かしい味だな。
あのさ、渡邉さんも…」
美穂「美穂でいいですよ!」
大我「わかった。美穂もアイドルやるか?もちろんバスケと兼部でいいけど。」
美穂「ありがとうございます!せっかくですし…やってみます!」
史帆「あぁ!美穂を贔屓してる!」
大我「してねぇ!」


トントン
と肩を叩かれたから美穂の反対側を向くと……。


彩花「あーん❤」
大我「あむ。美味い!俺のもあげる!あーん!」
彩花「ありがと!あむ。」
美穂「大変です!あや姉さんが贔屓されてます!」
大我「してるけど何か?元々2人でのデートの予定だったし。」
彩花「大ちゃん!今度また2人で遊びに行こうね!今ならそこそこ遠くにも行けるし!」

俺はコクリと頷いた。


気づいた時には当たりが暗くなっていたんだ。みんなを送って家に着いて姉さんに今日のことを報告した。


絵梨花「そっか!楽しそうでなによりだよーー!」
大我「姉さんもありがとう。俺のワガママを…」


ギュ!とされて俺の顔が姉さんの胸の中へ。


絵梨花「バカ言わないの!あんたが逆の立場でも同じことするでしょ?一緒だよ!」
大我「姉さん……苦しい……でもホントにありがと……。大好きだよ。」
絵梨花「私も大好きだよ!たった一人の弟だから尚更ね!」


ここに帰ってこられたのは姉さんの後押しのおかげでもある。両親と姉ちゃん(長女)は少し反対気味だったから。


これからはみんなを大切にしつつ姉さんたちに恩返ししなきゃいけない。

この強い思いが後に大問題を引き起こす引き金になることはまだ知らない。

深見飛彩 ( 2023/01/31(火) 18:25 )