2章 仲間
2人で1人
影(あの動きコピーできるか。)
遥輝(もちろん。おまえは避けられるか?)
影(当たり前だ。あのクズだけは容赦なくぶっ倒す。)


怒りに燃えている賀喜遥輝がフィールドに立った。


クズ「そんな目で睨むなよwさっきのは不慮の事故だってw」
遥輝「わかってますwあんたの身にも不慮の事故が起こらないと良いっすね。」


遥香(なんだろこの雰囲気。遥輝でも裏遥輝でもない。)


このとき遥香のみ弟の異変に気づいていた。


遥輝「最初に言っとくよ。あんたらじゃ俺達には勝てない。」
クズ「いきがるなよwおまえは動体視力とコピー能力が優れていて闇側は視野と人間観察能力が優れてることはわかってんだwわかっていれば怖くねぇw」
遥輝「どうかな。それは過去のデータ。この試合の俺たちのデータは俺たちでもわからない。」


それだけ言って自陣に戻った。


ティップオフ!


クズ「嘘だろおいw」
遥輝「悪いな。わざとじゃないんだよ。」


審判に見えぬよう上手くクズの足を踏んでスタートした。第1クォーターは先程の試合でクズが主将にしたことをやり返す展開に。
もちろんだが3組チームが圧倒!


第2クォーターが始まる頃にはクズが怒りに燃えて我を失っていた。


仲間1「やりすぎだ!ってほどまではやってないか。でも」
遥輝「わかってます。第2クォーターからは本気を見せますよ。今の俺たちの本気を。」


第2クォーターが始まると同時にクズが明らかなファールプレーをしてくるが。


遥輝「甘い!」


避けてそのまま3ポイントシュートを決めた。


山下「冗談抜きで遥輝くんかっこいいんだけど!!彼氏になってほしいかもw」
遥香「ダメです!いくら山下さんでも弟は渡せません!」
阪口「前から思ってたけどシスコンブラコン姉弟だよねw」
梅澤「珠!そんなこと言っちゃダメだよ!あっ、また決めた!今度は主将の技だ!かっいい!」
遥香「梅澤さんにも渡しません!」


そんなやり取りに気づかないほど遥輝たちは集中している。

2人の能力が1つになってもはや無敵状態のマリオのようだった。


クズ「こいつ敵味方全員のことを同時にしっかり見てやがる!勝てる気がしねぇ…。」


クズは崩れ落ちて戦意喪失し、絶望していた。


主将「クズーーー!!」


諦めているクズに観客席にいた主将の声が……。


主将「諦めるなーー!!おまえ自陣からの3ポイントシュートの練習をしてただろ!決めてやれ!」
三組1「そうだぞーー!!がんばれーー!!」
遥輝「それでも負けないけど。」



遥輝の宣言通りそのまま1組チームが勝った。
そしてこれまでズルして勝ち続けてきたクズこと2年の葛山はこの試合を機に心を入れ替えたよう。


葛山「主将、すみませんでした。これからは…。」
主将「良いんだよ!おまえになら来年のキャプテンを任せられる!」


葛山はニコッとし始めた。


遥輝「良かったですね!」
葛山「あぁ。ありがとな。おまえは覚えてないかもしれないが」
遥輝「覚えてます。二重人格になるきっかけを作った張本人だから。まさかここで会うとは思いませんでしたけどw色々とありがとうございます。」
葛山「礼を言うのはこっちだ。ありがとな。」


2人が握手した瞬間に歓声が沸いた。


1年数名「ハルくーーーん!」
遥輝「ん?うわっ!!ね、姉ちゃんたち!助けて!!」
さくら「かっこよかったよ!」
レイ「今度レイにも教えて!!」
聖来「流石は聖来の元彼!」
あやめ「今度カフェ行ってお祝いしようね!もちろん奢りで!」
遥輝「わ、わかったからみんな離して!」


離してくれず困っているとお姉さんたちが駆け寄った。


梅澤「はいはい、そういうのは後でやろうね〜w次は女子バスケだね!紗耶ちゃん、頑張って!」
遥輝「ありがと……。まよ…梅澤さん。」
梅澤「ちょっと💢今私のことマヨラー星人って言おうとしたでしょ?💢w」
遥輝「そんなことないですよw足挫いたんでちょっと保健室に行ってきます。」
梅澤「逃げるなw」
金川「えぇ〜見てくれないの?」
遥輝「それまでには戻ってくる。ちょっと1人で整理したいことがあって。」


遥輝は1人で保健室に向かうのを見た遥香たちもまた保健室へ向かってた。



保健室にて

遥輝「影ちゃん!おい!影ちゃん!聞こえてるんだろ!」

・・・

応答なしか。そんなはずはないんだけど。



遥香「遥輝の中に帰ったのかもねwあの時の裏遥輝はなんかスッキリした顔をしてたんだよね。」
遥輝「そんな……。もういないってこと?」
遥香「違うよ!いつも一緒ってこと。」


そっか。元に戻ったんだ。2人で1人じゃなくて1人で1人の状態に。


遥香「そっか、もう話せないのか〜…グスン…寂しいね…グスン。弟が2人いる感じがして好きだったのにwグスン。」
遥輝「普通俺から泣くもんでしょ…グスン。姉ちゃん……。」


目を閉じた瞬間にギュッ!とされたので抱き返すが……。


遥輝「ん?この香水の匂いは……山下さん?」
山下「正解!ごめんねw聞いちゃったwでもみんながいるよ!穴埋めって訳じゃないけど一緒に遊んだり怒られたり泣いたりしよ!」
遥輝「山下さん……。ありがと!」


そのまま抱きついていたら案の定?姉ちゃんがキレた。姉ちゃんの推しメンなの忘れてた…。とりあえず何も言わずに逃げようw


遥香「山下さんにベタベタくっつくなーー!!てか逃げんな!w」
山下「まあまあwいいじゃんw遥香ちゃんも遥輝くんもこれからは美月でいいからねーーー!」
遥輝「わかりましたーーー!!」



俺は体育館へ向かった。試合もう始まってんじゃん!てか負けてるし。


相手に女子バスケ部の主将も副主将が揃っていることもあって負けていた。


遥輝「梅澤さん、アドバイス叫んでもいいですかね?」
梅澤「ん?良いんじゃない?wさっき主将さんやってたしw」


あれはアドバイスじゃないような…。まあいっか。


(迷ってんじゃねぇよ。やっと分離できた。)

遥輝「えっ!?」
数名「どうしたの?」
遥輝「いや、なんでもwよし!」


影ちゃんの声が聞こえた気がしたけど気のせいか。


遥輝「主将を2人でプレスすれば100%取れる!副主将はゴール前で待ってシュート打つ瞬間を妨害して!」
一組チーム「ありがと!」


よし!1組チームが勢いに乗り始めた!


聖来「流石は聖来の元カレやなw」
岩本「えっ!元彼なの!?いつ?どれくらいくらいつきあってたの?」
聖来「えっと〜。」
遥輝「言わなくていい💢」


そんなバカな会話を続けているうちに逆転していた。そして残り3秒くらいで金川が3Pシュートを放った。


金川「とりゃ!」


ビーーー!
ストン!



遥輝「うっわ、ブザービーターw」


このまま女子バスケも勢いに乗って一組が全勝して終わった。


梅澤(次は私の番!頑張らなきゃ!)

深見飛彩 ( 2022/10/09(日) 20:34 )