1章 憧れの場所へ
初ライブ
今日は賀喜姉弟が二人で学校へ向かっていた。


遥香「どうしよ。上手くできるかな?」
遥輝「上手くやんなくてもいいじゃん!全力でやれば。いつもみたいにキリッとしてなよ。姉ちゃんらしくないw」
遥香「お、大きなお世話ですぅ💢
それにしても弟に弱音吐いちゃうなんて情けないお姉ちゃんだよね……。ハァ……。」


珍しく弱気なお姉ちゃんを遥輝は強く抱きしめた。


遥輝「そんなことないよ!俺さ、誰よりも優しい姉ちゃんに何度も助けてもらってる。」
遥香「ううん。私も誰よりも強い遥輝に何度も助けられてるよ。倒れるたびに何度でも立ち上がる遥輝に。」


不安がある中、お互いの言葉が嬉しかったのか2人して泣きながら抱きあっていた。


寮の前だということを忘れて。


聖来「ラブラブ姉弟やw」
柚菜「寮の近くなのに大胆だねw」
遥輝「聖来!柚菜!」
聖来「またまたハルくんの弱みゲットw」
遥輝「おまえ💢」


逃げる聖来を追いかけて遥輝も行ってしまった。


遥香「なんか弟と妹がいるみたいな感覚w」
柚菜「かっきー!今日のライブはみんな一緒だから大丈夫!」
遥香「うん!ありがと!」
柚菜「あとさっきのは無かったことにしてあげる!」


柚菜はそう言って先程撮った動画を再生した。


柚菜「2人ともいい表情してたから撮っちゃったww」
遥香「柚菜ーーーー!!」


遥香もまたイタズラな笑みを浮かべた柚菜を追いかけて走っていった。


そんな姿を見守る2年生の影もそこにあったが1年は知らない。


学校に着くとさっそく準備が始まり、あっという間に本番の時間になる。


遥輝「さくは超絶緊張するタイプだと思ってたからなんか意外w」
さくら「いつもなら超絶緊張してたと思うけどハルくんたちが一緒だから!」


2人で仲良く話していると……。


金川「もしかしてさくちゃんと遥輝くんってもう付き合ってるの?超仲良しだけど。」
掛橋「それ私も思った!」


突如現れる金川にとんでもないことを聞かれて困る二人。
オドオドしすぎ。


遥輝「急にどした!?」
金川「いや、だって呼び方がいつのまにかさくらさんからさくらに変わって更にさくに変わってるじゃんw」
遥輝「それだけさくと親しくなったってこと!」
さくら「うん!多分ハルくんもそのうちやんちゃんとかさやかって呼ぶようになるよ!」


金川も掛橋はそんな二人の関係を羨ましいと思うのだった。


掛橋「それじゃ今日はお互いに頑張ろうね!」
金川「それじゃごゆっくり〜w」


そして本番がスタートする。


途中までみんな順調に見えたがさくらがコケてしまった。


遥輝(やべっ!)

それを庇うのかのように遥輝も転んだ。実際は緊張してガチで転んでしまっただけ。


それでも2人は…いや、みんなは最後までやり遂げた。


〜ライブ後〜

さくら「ありがと!転んだ私を元気づけようとして転んでくれたんでしょ?」
遥輝「えっ?あ、うん!あの後もさくと元気に踊れてよかった!」


再び二人で話していると遥香たちが…。


聖来「さくちゃんには悪いけどさくちゃんのために転んだわけじゃないでw」
遥香「こいつただただ緊張してコケただけだよw」
遥輝「言うなよ!」


さくらは一瞬だけ驚いた。遥輝も緊張するんだと。そしてしょーもない嘘で元気づけてくれた優しさに感謝した。


さくら「(そっか私と一緒だったんだ。)フフッwありがと!」
遥輝「でもさくが最後まで諦めなかったから俺も諦めずに済んだんだ!ありがとう。」
さくら「なにそれwてゆーか約s」
遥輝「ほら、俺たちは行くよ!姉ちゃんたちも頑張ってね!」


強制的にさくらを連れ出してステージ袖に移動した。


遥輝「姉ちゃん……。」
若月「そんなにお姉ちゃんのこと心配?でもね、心配するってことは疑うってことだよ。」
遥輝「心配するってことは疑うこと…。」


珍しく弱々しかった姉を心配していた遥輝に若月が話しかけてきたのだ。


遥輝「姉ちゃんはいつでも俺のこと信じてくれてる。」
若月「なら遥輝くんもお姉ちゃんのこと信じなきゃ!うわっ、」


大好きな姉のことを疑ってしまい、罪悪感が生まれたようで若月に泣きついた。


みんなに見られているのに。


遥輝「俺……最低……。」
若月「そんなことないよwほら、応援しなきゃ!みんなはこのこと見なかったことにしといてね?さもなくは…。」
「はい!」


超真顔の「さもなくは」を聞いた瞬間、メンバーは一瞬で従った。


先程のチーム乃と違い、ダンスはミスなく終わった。1年が少しだけ歌詞を忘れてしまっただけで…。


遥香「遥輝…。やっぱり情けないお姉ちゃんだった…。」
遥輝「そんなことないよ!姉ちゃんはいつだって最高で最強だよ!」
遥香「なにそれwグスン。」
白石「ホントに仲良しだねwなんか羨ましいな。」


突如出現したマヨラー…白石麻衣。抱き合う姉弟を更に抱いてあげて頭を撫でていた。


白石「2人ともよくできました!ほら、最後のメンバーが始まるよ!まあでも1番心配いらないんじゃないかな…。美波ちゃんいるしw」
遥輝「梅澤さんがいるなら安心w」
山下「でも梅だって緊張はしてるんだよ!みんなと一緒!でも私たちはお互いを信じてる。」
与田「うん!祐希も2年のみんなもだけど1年のみんなも信じるけん!」


この時を境に1年の団結力は増した。互いと自分を信じることで急成長しだした。


〜次の日のレッスン〜

遥輝「やんちゃん、指の動きはこう!」
金川「ありがとう!」
遥輝「さぁちゃんは左右逆wレイちゃん動きが大きすぎ!」
掛橋「かっきーJrが鏡みたいに教えてくれないからでしょ!」
清宮「大きいほうがアピールできるじゃん!」
遥輝「そういう問題じゃない💢」


最近は特に思いっきりぶつかるようになった。そのたびに桜井と白石が止めに入るのが新たな日課になっている。


白石「それだけ許しあえてるってことだよね。」
桜井「うん!私達も何回もぶつかってきたしw」
白石「いや、玲香はポンコツすぎて怒られてただけじゃない?w」
桜井「そんなことないもん!」


先生たちもまた昔を思い出しながらぶつかりあっていた。

深見飛彩 ( 2022/08/25(木) 22:59 )