第7章
第144話

夏休みが終わり、残暑残る9月初旬。

2学期が始まって1週間のこの日、蒼たちの学校では次なるイベントの準備が行われていた。

そう、学園祭である。

毎年3年生は飲食店を出すことになっている為、蒼も当日以外はそれほど忙しくないだろうと思っていた、が。

白石「はい次、蒼くーん!こっち来てー!」

現在、蒼は何故か白石たちに採寸をされていた。

蒼「あのさ白石、マジでやるの?」
白石「マジだよ!昨日話し合いで決まったじゃん、コスプレ喫茶にしますーって!」

そう、蒼たちのクラスではそれぞれがコスプレをして飲食店を営む、コスプレ喫茶をする事になったのだ。

蒼「いや、そうだけどさ、さすがにやっぱコスプレは恥ずかしいって。」
白石「そう?私は楽しみだけどな!それに、飛鳥やなぁちゃんのコスプレ姿も見れるんだよ?蒼君も見たいでしょ?」
蒼「それはまぁ・・・確かに、気にはなるな。」
白石「でしょ?だったら蒼君も覚悟決めないと!大丈夫、かっこいいの仕立ててあげるから!」
蒼「うーん、でもなぁ」
白石「もう、いつもの堂々とした蒼君はどこいったの!男なら黙って最後までやる!はい、後ろ向いて!」
蒼「・・・やるしかないか。」

その後念入りな採寸をして、無事この日を終えた蒼。

帰り道、蒼はいつも通り飛鳥と自転車を押しながら歩いていた。

飛鳥「珍しく蒼、渋ってたね。やっぱコスプレ嫌だった?」
蒼「いや、嫌というか、俺のキャラじゃないでしょ?それに、動きづらいし。」
飛鳥「まぁね。でも、さすがしーさん、そんな蒼をも屈服させるとは。」
蒼「白石怒ったら怖いから。でも、飛鳥こそ意外だった、すんなり受け入れてるから。いつもなら恥ずかしいからやだ!とか言ってるのに。」
飛鳥「それはまぁ・・・最後の学園祭だから。」

恥ずかしいのか小声になる飛鳥。

蒼「・・・実は飛鳥ってイベント好きだよね。」
飛鳥「うるさいなぁ。良いでしょ別に、悪い?」
蒼「いや?ただ、意外だなーと思っただけ。そういうのもっと出していけば良いのに。」
飛鳥「恥ずかしいじゃん、みんなの前ではしゃぐとか。」
蒼「そう?俺は飛鳥はもっと自分出して良いと思うけどな。白石や松村みたいにさ。」
飛鳥「それが出来ないから困ってるんでしょ。ずっと一緒に居るんだからそのくらい分かれバカ!」
蒼「いてっ。てか、そーやって、俺と居る時みたいに強気でいけば良いのに。」
飛鳥「そんなグイグイいってたら目立つじゃん。私あんまり目立ちたくない。」
蒼「そういうところは相変わらずなんだな。まあ、それが飛鳥らしいけど。」

その後特に何もなく無事家に到着した蒼。

夕飯を作り、蓮加とみなみと3人で食卓を囲む。

蓮加「そう言えば、お兄ちゃんのクラスは学園祭の出し物何するの?」
蒼「あー、毎年恒例の飲食店だよ。コスプレ喫茶だって。」
蓮加「コスプレ!?お兄ちゃんコスプレするの!?」
蒼「そうらしい。」
蓮加「何のコスプレ?王子様?それとも執事?」
蒼「いや、まだ分かんない。」
蓮加「何だ分かんないのかー。でもお兄ちゃんは何着ても似合いそうだね!」
蒼「そうだと良いけど。そういう蓮加は?」
蓮加「蓮加のクラスはねー、縁日だよ!輪投げとか射的とかするの!」
蒼「へぇ、面白そうじゃん。楽しみにしてるよ。」
蓮加「うん!」
みなみ「良いなぁ、みなみも行きたーい。」
蒼「みなみは部活なんだっけ?」
みなみ「そー、秋の大会近くてさー。就活もあるしほんと、大変だよー。」
蒼「でもまぁ、就活はもう決まりそうなんでしょ?パン屋だっけ?」
みなみ「そう!駅前のパン屋さん!みなみが1番好きなとこ!」
蒼「受かると良いな。応援してるよ。」
みなみ「ありがと蒼!・・・んー、美味しい!やっぱ蒼の料理は最高だね!」
蒼「ありがと。」

無事夕飯を食べ終えた3人。

この日から、蒼の高校最後の学園祭へのカウントダウンが始まった。

Haru ( 2021/12/17(金) 18:13 )