第5章
第103話

夕食を終え風呂を済ませた蒼は約束通り与田たちとゲームをしていた。

与田「あ〜、また当てられた!今甲羅当てたの誰!」
蒼「俺だけど。」
与田「蒼君のバカ!」
蒼「ハンデありなんだから許して。」

蒼たちがしているのはキャラクターが乗り物に乗ってレースで競うというものだった。

与田に怒られながらも1位でゴールする蒼。一方当てられた与田は7位まで順位を落としゴールした。

与田「7位か〜、蒼君が当てなかったらなあ〜!」
蓮加「手加減してよねお兄ちゃん!」
蒼「してるんだけどな・・・。ねえでんちゃん?」
佐藤「はい、お兄さん手加減なしだと強すぎるのでコレくらいがちょうど良いです!」
蒼「でんちゃんもこのゲーム上手いよね。」
佐藤「私コレ得意なので!次は勝ちますよ!」
蒼「よし、受けて立とう。」
与田「うちも負けん!」

そんなこんなでゲームを続け気づけば2時間が経過していた。時計の針は既に11時を指している。

蒼「もう11時か。明日も勉強あるし俺そろそろ寝るわ。」
佐藤「え〜、せっかく盛り上がってきたところだったのに〜。」
蒼「また今度な。」
与田「うちも眠い・・・。ふぁーあ。」
蓮加「じゃあ、蓮加たちもそろそろ寝よっか!ね、楓!」
佐藤「仕方ない、今日は寝るとするか〜!」

そう言ってそそくさとゲームを片付ける佐藤。歯も磨きあっという間に寝る準備を終えた。

佐藤「じゃあお兄さん、明日も勉強頑張ってください!」
蒼「ありがと。3人もちゃんと宿題しときなよ。」
蓮加「もちろん!じゃあおやすみお兄ちゃん!ほら与田、行くよ!」
与田「うーん・・・おやすみ蒼君・・・。」
蒼「おやすみ。」

そう言って3人は蓮加の部屋へ入っていった。
蒼も自分の部屋に入りベッドに潜る。
疲れていたのかあっという間に眠りにつく蒼。


数時間後。

蒼「・・・。・・・暑い・・・。」

クーラーをかけているにも関わらず、暑さで目が覚めた蒼。
ふと横を見るとさっきまでいなかったはずの人間が寝ていた。

蒼「え、与田?」
与田「んん・・・。・・・あれ、蒼君?どうしてうちの布団におると?・・・あー、もしかして、うちと一緒に寝たかったん?」

与田は寝ぼけているのか自分の寝ていた布団に蒼が入ってきたと勘違いしている。

蒼「いや、ここ俺のベッドだから。何寝ぼけてんの。」
与田「えぇ〜?そんなはずなかよ〜・・・あれ?蓮加とでんちゃんは〜?」
蒼「だから、ここ俺の部屋。2人がいるのはこの隣。分かった?」
与田「なるほど〜、うちがトイレ行った後間違えたんか〜。・・・まあいいや、おやすみ〜。」
蒼「いやちょっと待て。」

気にせず寝ようとする与田を止める蒼。

与田「もうなにすると〜?眠いっちゃけど・・・。」
蒼「寝るのいいけど隣の部屋で寝てくれ。な?」
与田「ええ〜、いいやんこのくらい〜。ほら、蒼君も寝よ〜?」
蒼「あ、ちょっ・・・」

与田に腕を掴まれ無理やり寝かされる蒼。
ふとその時、蒼の腕に柔らかい感触が伝わる。

蒼「・・・与田、あのさ。」
与田「ん〜、なに〜?」
蒼「もしかしてなんだけど・・・下着、つけてない?」
与田「・・・っ!!」

そう言われて気づいたのか蒼の腕を離し胸を隠す動作をする与田。

蒼「・・・もしかして、いつも着けてない?」
与田「うん・・・着けてるとよく眠れなくて・・・。も、もちろん、寝る時以外は着けてるよ!」
蒼「普段つけてなかったら流石にやばいでしょ。」
与田「それに、今の下着ちょっとキツくて・・・着けてると苦しいから・・・。」
蒼「そっか。女子も色々あるんだな。」
与田「うん・・・。」
蒼「ほら、もうコレに懲りたら、俺の部屋で寝ようとすんなよ。俺だって男なんだから。」

蒼はそこまで言うと、寝ようと壁の方へ身体を向ける。

その瞬間、与田がゆっくりと蒼の体に手を伸ばし、そのまま蒼に抱き着いた。


Haru ( 2021/11/02(火) 14:36 )