第4章
第83話

倒れてきた飛鳥を何とか受け止める蒼。
今2人は飛鳥が上に被さる状態で密着している。

蒼「飛鳥、いくらなんでもいきなりすぎる・・・。」
飛鳥「ち、違う!ずっと正座してたから足が痺れて・・・。」
蒼「あぁ、そう・・・とりあえず起き上がろ。」
飛鳥「無理!ちょっとでも動いたら死んじゃう!」
蒼「そんなバカな・・・。どうしろって言うのこの状況。」
飛鳥「あと少し待って!そしたら治るから!とにかく今はダメ!」

飛鳥とそんなやりとりをしていたその時。

ーガチャッー

久保「すみません蒼せんぱ・・・えっ・・・。」
蒼&飛鳥「あ・・・」

運悪く久保が部屋に入ってくる。
もちろん2人は依然密着した状況だった。

久保「ご、ごめんなさい!お邪魔しました!」
飛鳥「あっ、ちょっ!・・・。」

久保は慌てて戸を閉めて行ってしまった。

蒼「あちゃー・・・。」
飛鳥「絶対誤解されたよね・・・。」
蒼「だなぁ。仕方ない、後で説明しよ。それより、足もう治った?」
飛鳥「あ、うん・・・。お手洗い行ってきます・・・。」

そう言ってトイレに向かう飛鳥。

その後12時を回ったタイミングでみんなで昼食をとることにした。

山下「そう、それで与田が・・・って久保?どうしたの?」
久保「えっ!?ごめん、聞いてなかった・・・。」
山下「食欲無いの?進んでないよ?」
久保「あ、ごめん、ちょっと考え事してて!ちゃんと食べるよ!はは・・・」
山下「なら良いけど・・・。」
久保「うんごめん。それでなんだっけ?」
山下「ああそう、だから与田が・・・」

久保は明らかにさっき見た出来事を気にしているのだと蒼と飛鳥は感じていた。

昼食を食べ勉強に戻る。が、久保は依然ボーッとしていた。

梅澤「久保?」
久保「・・・ん?どうしたの?」
梅澤「それはこっちのセリフだよ。どうしたのボーッとして。」
久保「あ、ううん何でもない!ちょっとお手洗い行ってくるね!」

そう言ってトイレに向かう久保。
用を済ませ、トイレを出た曲がり角で飛鳥と遭遇する。

久保「あ・・・。」
飛鳥「あ・・・。」

どことなく気まずい2人。

久保「あ、さっきのことなら気にしないでください!私誰にも言わないので!はは・・・」
飛鳥「やっぱり誤解してる。」
久保「え?」
飛鳥「さっきのは単なる事故だから!私がトイレ行こうとして立ち上がったら、足痺れててバランス崩しちゃって。で、ああなったところを久保ちゃんに見られたってわけ。だからその・・・そういうことしてたんじゃないからね?」
久保「あ、あぁ!そ、そうなんですね!私てっきり・・・ごめんなさい!勘違いしちゃって・・・そういう雰囲気なのかと・・・」
飛鳥「違うから!みんないるのにそんなことするわけないでしょ!」
久保「みんないなかったら・・・?」
飛鳥「それは・・・とにかく!事故だから!ちゃんと言ったからね!」

そう言って飛鳥はトイレの方へ向かって行った。
久保はリビングに戻らず蒼の居る部屋へと向かう。

蒼「あれ、ずいぶん早かった・・・って、久保・・・。」
久保「あ、あの、さっきはごめんなさい・・・ノックもしないで・・・。」
蒼「あぁ、いいよ気にしないで。」
久保「飛鳥さんに聞きました。私の誤解だって。見た時はビックリしましたけど・・・。」
蒼「俺も絶対誤解されたなって思った。まぁ、誤解解けたなら良かったよ。」
久保「はい・・・。」

静まる空間。久保はドアの前に立ったまま動かない。

蒼「久保?」

蒼が声をかけると久保は蒼の横にちょこんと座った。

久保「あ、あの・・・。」
蒼「う、うん?」
久保「わ、私のこともギュッとしてください。」
蒼「えっと・・・だからさっきのは誤解」
久保「知ってます!事故だって聞いたし・・・。でも、なんか私もして欲しいなって考えちゃって・・・ごめんなさい、迷惑ですよね・・・。」
蒼「いや、迷惑ではないけど・・・。じゃあ、こっちおいで?」

そう言って蒼は久保の方へ手を広げる。
久保は恥ずかしがりながらも蒼に体重を預ける。

抱き合う2人。久保は張り裂けそうな鼓動を必死に抑えた。
数十秒後、離れる2人。

久保「あ、ありがとう、ございます・・・。」
蒼「い、いいえ。って、顔真っ赤だよ久保。」
久保「あっ、えっ!すみません、こんなこと初めてで!恥ずかしい・・・。」

顔を手で仰ぎながら立ち上がる久保。

久保「じゃ、じゃあ私戻りますね!ありがとうございました!」

久保は勢いよく出ていった。
その後飛鳥が戻ってくる。

飛鳥「なんか今久保ちゃん顔真っ赤だったんだけど・・・蒼なんかした?」
蒼「い、いや、何も?ずっと勉強してたけど・・・。」
飛鳥「ふーん・・・まぁいいや。さ、勉強やろっと。」

何も気にする様子もなく勉強に戻る飛鳥。

結局この日は17時過ぎまで一緒に勉強し、飛鳥は帰って行った。
その1時間後くらいに他のメンバーも帰宅。

こうして波乱の週末は幕を閉じるのだった。

■筆者メッセージ
今日は気まぐれで3話更新になりました。

テスト勉強、懐かしい響きです。て言っても2年くらい前まで私もしてたんですけども。

乃木坂みたいに可愛い子と勉強したら絶対捗りませんね、間違いないです。

では、今日はこれで終わりになります。
また明日の更新をお待ちください。
Haru ( 2021/10/22(金) 19:29 )