第3章
第44話

体育祭から1週間後の土曜日。
いつも休日はゆっくりと起きる蒼だったが、この日は8時には起きていた。

そう、飛鳥とのデートの約束があるからだ。
準備を済ませ階段を降りる。

蓮加「あれ、お兄ちゃんおはよう!今日休日なのに早いね!」
蒼「ああ、飛鳥と出かけてくる。」
蓮加「・・・ふーん、あっそ。蓮加とは遊んでくれないくせに。」
蒼「くせにって・・・じゃあ今度遊ぶから。」
蓮加「ほんと!?約束だからね!」
みなみ「え〜みなみも遊びたーい。蒼、みなみも連れてって?」
蒼「・・・じゃあ3人で。」
みなみ「やったー!蒼ありがとう〜!」
蓮加「え〜2人がよかったのに〜!まあいいやお姉ちゃんなら!じゃあ約束だからね、忘れないでよお兄ちゃん!」
蒼「はいはい。じゃあ、行ってきます。」

玄関を出て飛鳥の家の前に行く。
待ち合わせ時刻5分前。現在9時55分。
普段なら蒼より早くいるはずの飛鳥が、珍しくまだいなかった。

蒼「あれ?時間間違えたかな・・・。」

念の為チャイムを鳴らす。

飛鳥母「はぁい、どちら様でしょう?」
蒼「あ、お母さんおはようございます、蒼です。飛鳥いますか?」
飛鳥母「あら蒼君、おはよう〜。飛鳥ならまだ起きてないと思うけど・・・もしかして何か約束してた?」
蒼「今日一緒に出かける予定でして・・・。」
飛鳥母「あらほんと、それは困ったわね。急いで起こすからちょっと待ってて〜。飛鳥〜蒼君来てるわよ〜!」

飛鳥母が2階に呼びかける。するとインターホン越しに慌てて階段を降りてくる音がする。

飛鳥「あ、やばいどうしよう!お母さん準備手伝って〜!」
飛鳥母「全くもう世話が焼ける子なんだから。ってことで蒼君、ごめんだけどちょっと待っててもらえる〜?準備終わったら家に向かわすから。」
蒼「分かりました。じゃあ家で待ってますね。」
飛鳥母「ごめんね〜ほんと。」

蒼は一度家に帰る。
蓮加「あれ、お兄ちゃんデートは?」
蒼「飛鳥が寝坊した。今準備してる。」
蓮加「珍しいね、飛鳥さんが寝坊なんて。昨日楽しみすぎて寝れなかったのかな?」
蒼「飛鳥に限ってそんなことは・・・いやあるな。飛鳥たまに抜けてるから。」
蓮加「まぁ、お兄ちゃんとデートだもんね〜、寝られないのも分からなくもない!」
蒼「え、なんで?」
蓮加「さぁね〜、じゃ、私も梅と桃子と遊んでくるから!またね〜!」
蒼「いってらっしゃ〜い。さて、まだかかるだろうし、ちょっと勉強しよっかな。」

受験生と言うこともあり、蒼は毎日夜遅くまで勉強している。それは休日も変わらない。
ただ休日に予定がある日はほとんど丸一日潰れるので、こうして隙間時間を見つけては勉強をしていた。

集合予定時刻から1時間。
家のインターホンが鳴る。

玄関を開けると飛鳥が申し訳なさそうに立っていた。

飛鳥「ごめん!昨日全然眠れなくて、それで」
蒼「分かったから、ほら行くよ。」
飛鳥「怒ってないの?私寝坊したんだよ?」
蒼「寝坊なんて俺だってしょっちゅうしてるんだから、飛鳥が1回や2回寝坊したくらいで怒らないよ。ほら、行くの、行かないの。」
飛鳥「・・・行く。」
蒼「よし、じゃあ行こっか。」

こうして蒼と飛鳥は家を出てデートに出かけた。


Haru ( 2021/10/03(日) 11:33 )