第2章
第36話

家に帰るとすでに2人は帰宅していた。
みなみ「あ、蒼おかえり〜!優勝おめでとう!」
蓮加「お兄ちゃんお帰り!最後のリレーめっちゃかっこよかった!」
蒼「ただいま2人とも。もうお風呂入った?」
みなみ「入ったよ〜。」
蓮加「蓮加も入った〜。」
蒼「じゃあ俺もシャワー浴びて寝よっと。」

風呂に入り湯船に浸かる。
1日の疲れが落とされていくのを感じる。

風呂から出て髪を乾かし、リビングにいる2人におやすみを言ってから2階へ上がる。

寝室に入った蒼はそのままベッドに倒れ天井を見上げる。
蒼「なんか今日、色々あったな・・・。」

体育祭で優勝したこと、2人の後輩を守ったこと、それから、2人から告白されたこと。

蒼「ダメだ、いっぱいありすぎて疲れた。今日は寝よう・・・。」

そう思い布団に潜ろうとしたその時。

ーコンコンー
ドアがノックされる。

蓮加「お兄ちゃん、蓮加だけど・・・入っていい?」
蒼「蓮加?いいけど」

ドアが開き蓮加が入ってくる。
蒼「どうした?」
蓮加「あ、えーっと、ちょっと話したくて。ベッド入っていい?」
蒼「ん、おいで。」

蓮加と2人で天井を見上げる状態でベッドに入る。が、シングルベッドなのでどうしても体がくっついた状態になる。
蒼「やっぱ2人は狭いな。」
蓮加「だね。2人とも大きくなっちゃったし。」
蒼「そうだなー、昔はよく3人で寝てたりしたのにな。」
蓮加「そうだよ、その頃から私が毎回2人起こしてたの覚えてる?」
蒼「面目ない。」
蓮加「まぁ、お兄ちゃん起こすのは私の仕事だから。これからも起こしてあげる。」
蒼「助かるよ。ありがとう、蓮加。」

不意に蓮加が蒼の方を向く。
蓮加「お兄ちゃん、こっち向いて?」
蒼「え?あぁ、良いけど。」

蒼も蓮加の方に体を向け、2人向かい合った形になる。
蓮加「今日、本当かっこよかった。」
蒼「ありがとう、蓮加も頑張ってたじゃん。」
蓮加「うん、負けたけど楽しかった。」
蒼「来年は勝たなきゃね。」
蓮加「うん。・・・お兄ちゃんのファン、また今日も増えたなぁ・・・。」
蒼「え、そうなの?」
蓮加「だって通り過ぎる人みんなお兄ちゃんのことかっこいいって言ってたよ?特にリレーの後とか、あと掛橋ちゃん助けた時とか。」
蒼「あー、あれか。って蓮加見てたの?」
蓮加「ううん、でも、話聞こえてきて。3年生の先輩が責められてた1年生助けてたって。話してた子に聞いたらお兄ちゃんの事だったの。」
蒼「そっかー、なんか嬉しいような恥ずかしいような。」
蓮加「・・・あと、美月のことも助けたんでしょ?」
蒼「なんでそれ」
蓮加「私あのカラオケ居たんだ。山下と同じグループで、桃ちゃんや梅も居たんだよ?で、戻ってきた山下に聞いたら大学生に絡まれてたとこを蒼先輩が助けてくれたって。」
蒼「そっか、蓮加も居たんだ。にしても美月め、話さなくて良いのに・・・。」
蓮加「美月?」
蒼「あぁ、なんか美月って呼んでって言われて、断るのも変だから呼ぶことにした。」
蓮加「そっか・・・。」
蒼「うん・・・ってどうした?」

蒼がふと蓮加を見ると今にも涙が溢れそうになっている。
蒼は蓮加を抱き寄せそのまま頭を撫でる。

蓮加「お兄ちゃんが、どんどん遠くに行っちゃう・・・。お兄ちゃんは・・・蓮加のお兄ちゃんなのに・・・。」
蒼「蓮加・・・。大丈夫だよ、何があっても蓮加から離れたりはしないから。」
蓮加「ほんと・・・?」
蒼「あぁ、ほんと。」
蓮加「そっか・・・嬉しい。」

そういって蒼に抱きつく蓮加。
しばらくその状態が続いた。

蒼「あの、蓮加?そろそろ寝ない?」
蓮加「・・・。」
蒼「あれ、寝た?」
蓮加「寝てない。」
蒼「あの、そろそろ」

そこまで言った瞬間、蓮加が顔を上げ蒼にキスをする。
数秒間の硬直。
そっと唇が離れる。

蒼「・・・っ、蓮加。」
蓮加「私、お兄ちゃんが好き。誰にも取られたくない。だから・・・蒼お兄ちゃん、私として?」


■筆者メッセージ
次の投稿から4話ほど官能チックな描写になりますので、無理な方は是非飛ばしてください。

これから少しずつそういうのにも挑戦していこうと思うので、よろしくお願いします。
Haru ( 2021/09/28(火) 08:12 )