第2章
第30話

白石「どっち!どっちが勝ったの!!?」

2人はほぼ同時にゴールした。ゴールで見ていた審判も他の生徒や観客も、どちらが勝ったのか判別がつかない。

司会「えー、ただ今ビデオで確認しておりますので、もう少々お待ちください!」

多くの生徒たちが見守る中、審判や他の先生たちが一緒になってビデオを確認する。

日村軍の中にはすでに優勝を確信し喜び合う人もいる。

飛鳥「また、私のせいで・・・」
七瀬「大丈夫、飛鳥。蒼を信じよう。」
飛鳥「なあちゃん・・・。」

みんなが手を合わせ祈る。
司会者が壇上に登る。

司会「あー、あー、テステステス。えー、ビデオ判定の結果、勝者はーーーーー」

その場にいる全員が息を呑む。

司会「僅差で設楽軍!!・・・ということで、3年優勝は設楽軍になりまーす!」

沈黙が流れる。

日村軍の生徒「そんな・・・嘘、だろ・・・。」
蒼「勝った・・・勝ったのか・・・。飛鳥、七瀬!俺たち勝っt・・・おわっ!!!」

その瞬間、蒼の体は地面に倒れていた。七瀬と飛鳥が抱きついたからだ。

白石「やった、勝った、勝ったよみんな!優勝だよ!」
「「「いやったーーーーーー!」」」

それぞれが喜びを分かち合う。仲間の中には涙する者もいた。

七瀬「蒼、ありがとう!約束守ってくれて!」
飛鳥「よかった・・・ほんとによかった・・・」
蒼「ああ、勝てて良かった。ありがとう2人とも。」
七瀬「そんな、ななたちは何もしてない。」
蒼「そんなことない。最後諦めかけた時、2人との会話が頭に浮かんだ。そうじゃなかったら多分負けてた。だから、これは2人のおかげ。もちろん、みんなもね。」
七瀬「蒼・・・っ!!」
飛鳥「う、うぅ・・・蒼〜!」
蒼「ちょ、2人とも・・・苦しい・・・。」

七瀬&飛鳥「あっ・・・。」

2人は恥ずかしそうに離れる。
3人が立ち上がると、周りからみんなが走ってくる。

蓮「蒼ー!良くやった!」
蒼「蓮もな。」
白石「最後すごかった!ありがとう!」
蒼「俺1人じゃ優勝出来なかったよ。これはみんなのおかげ。」
松村「よーしそれじゃ、みんなであおちゃんを胴上げするぞー!」
「「「おーーーっ!」」」
蒼「え、ちょっと待っt・・・」

抵抗する間もなくみんなに持ち上げられ、胴上げされる蒼。

そんな姿を拍手で見送る周りの人達。

日村「いやぁ設楽先生、参りました。勝ったと思ったんだけどな〜、悔しいな〜。でも、これこそが設楽軍の力ですね。」
設楽「あいつらはやるときはやりますから。俺はいつだってそう信じてますから。」
日村「これも設楽先生の尽力の賜物ですかな?」
設楽「いやぁ、どうでしょう。ただ、今回に限っては、橘蒼がみんなを引き上げたといっても間違いないでしょうね。」
日村「そうでしょうな〜、彼は本当に凄いですよ。彼がうちのクラスに居たらなあ〜。」
設楽「勝敗は変わっていたかもしれないですね〜。」
日村「次はクラスマッチですかね。次こそは負けませんよ〜!」
設楽「俺らも負けないんで。」
高山「高山組も次こそは負けませんからね〜、アメイジーング!」


こうして無事、全ての競技が終了し、全学年優勝クラスが決定した。


Haru ( 2021/09/24(金) 09:23 )